君との距離
僕は顔を赤くしながら茅野に言った。
「茅野、おまえ!うふふじゃねーし!確かに美味いし、甘い!でも誰かに見られたらどうすんだよ」
「え?あー。付き合ってないんだから、気にしませんよぉ。園田さんだって気にしすぎちゃダメじゃない!」
付き合ってる、付き合ってないの次元じゃない。
茅野の行動自体が可愛いんだ!
そう言いたかったけど
ぐっと、喉の奥に飲み込んだ。
茅野には、というか、
茅野と、俺にはゼロ距離というか、
バーソナルスペースがなかった。
特に、恋人でもないのに
「だぁーれだ?!」
とかやってくる
否迷惑ではないんだけど・・・
記憶の彼方向こうにある、
薄い記憶の中にしかないその出来事を
普通に可愛く、茅野にされると・・・
心の中から、「好き」やら「愛してる」
やら、出てきそうなのだ。
ましてや相手は施設内のマドンナ。
恋人にでもしようもんなら、
介護で鍛え抜かれた筋肉バカ達から冷ややかな・・・。
耐えきれん。
無駄な葛藤をずっとする俺に、
パーソナルスペースゼロの茅野と、
どうしたらいいのか悩ましい日々なのだ。
どうしたらいいんだろうか。
青い空に向かい呟いた。
「俺だけが好きじゃつたわらねぇよなぁ」
その一言を後ろで聞いていた人が居たとは、つゆ知らず、俺は悩み続ける。