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お風呂の中からこんばんは

作者: 森のくまたん

さぁ、お風呂に入ってリフレッシュしよう。


終電近くに帰宅した私は、最近の立て続けに起きるトラブルと病んでしまいそうな部下の愚痴に半人前だった頃の自分を重ねていた。


数年前、入社して間も無い私の教育係として10年目の先輩がついてくれた。

人間的にはとても良い人なのだか、口がとてつもなく悪い。

半年の間、私はそんな先輩と得意先周りをして、少しづつ営業としての仕事のやり方やお客様との付き合い方を学び、教育期間が終わる頃には先輩の担当をしているお客様を一部引き継ぐことになった。

そこからまた半年後には教育係をしてくれた先輩のお客様を全て引き継ぎ、入社して2年が経つ頃には仕事が面白くてたまらなくなっていた。

しかし、どんなに仕事が楽しくても私はまだまだ半人前。


そんな中、ある事件が私を追い詰めたのだ。


はじめての失敗は、お客様の無理な注文だった。

ある程度の急な注文は、今までも何回かあった。

私は、無理な注文とある程度の注文を履き違え、上司に相談もなく受けてしまった。

結果大惨事を招き、上司と共にお客様にお詫びする羽目に。

その失敗の処理の最中、別お客様の要件を忘れる失態。

その他にも、小さなミスが幾つかあった…

そうなのだ。

負の連鎖という物は、立て続けにおきるのだ。


私は完全に自信を無くし、会社に行く事が辛くなり、眠れないほどに追い詰められていた。


オフィスではデスクで縮こまり、何か言葉を言えばまた迷惑かけてしまうと勝手思い込み、誰とも話しが出来なくなっていた。

「おい、おまえ飯食ってるのか?」

突然、懐かしい声が頭の上から降ってきた。

教育係をやってくれた先輩だった。

私の顔を見た先輩は

「ちょっと付き合え。」

と言ってオフィスから連れ出してくれた。


ビルの谷間にある小さな公園のベンチで、缶コーヒーを片手に私はまだ口を開けず項垂れていた。

どれくらいの沈黙があっただろうか?

最初に口を開いたのは、意外にも私からだった。

「どうしてですか?」

何がだろう?

口を開いたのは良いが、私自信意味がわからない事を聞いている。

「は?」

先輩の反応は、そりゃそうだろうと思う。

「うーん、まずおまえ何やった?

何をどうしたら、そんなゾンビみたいな正気のない顔になるんだ?」



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