うt主
翌日のことである。いざ、一作あげたみたあとになってうt主を襲っていたのは、頭痛でも、腹痛でも、腰痛でもなく、心の痛みという非常に言葉にしにくいものだった。
自分の駄文が今頃日本全国の皆様に閲覧されてると思うと、なんか、もう。。。
「」
空は雲一つない快晴である。
「・・・っつ」
いつもなら最高のネットサーフィンびよりなのに。
「は・・・・・しぃ」
こみあげてくる。
「・・ふぅ・・・・・」
「は、はずかしい。」
「恥ずかしい恥ずかしい。」
「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。」
「」
「」
「・・・・・・・ぅう」
「」
「ぐわぁ~~~~~~~、はーーーーーーーーーずくぁしぃ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいはzyかしいはずかsyはづぁしいはづかsyyyyyy・・・・・」
「、、、、ふぅーー。、、、」
「・・・ぅぅう・・」
「ふぅぅううううう、ふぅ。」
「」
「・・・・・・・つつtうつつうつつつ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!うぅをーーー!!!死にたい死にたい死にたじにたいぢにたいdにかいないいあないあいあいぃ~~~~~」
ビーッ、ビーッと突然隣のサイレンが鳴った。
「~~~~~~、~~~、・・・、、、、、、?」
なにかあったのか?火災?停電?不審者?
そうこうしている間に、外でドタドタとしたと思ったら、
バーーーーーン
「内海さん!大丈夫ですか?」
「・・・・・・・・・・・・・、じけんですか?」
「内海さんに発作の症状が・・・・・」
「・・・・。つまり・・・」
「突発性小説投稿症候群による動悸及び発作が確認されましたので・・・。」
どうやら、あの一件は病気のせいらしい。看護師様や、ほかのお医者様にもどうやら迷惑をかけてしまったらしい。
目が、下を向いたまま、あげられない。この状況、この状況、、、
「先生。」
「なんでしょう。」
また、こみあげてくる。
「・・・・・・、ぁいです」
「?」
駄文が恥ずかしい以前にこの状況が・・・・
「死に、たいです。」
「いけません。」
「しにたいでず。」
「気を確かにもってください。」
「まぢで、、、、まぢで、、、、ごぇんなざぃ。じにたいです!」
「内海さん?また発作ですか?内海さん?内海さん!」
この後の記憶は残ってない。ただ唯一、この病気の怖さだけがうt主の記憶に刻まれたのだった。
入院3日目。
依然として、発作の後遺症とそれに伴う吐き気で、気分は過去最悪である。
売れなきゃいけない、売れる作家にならないといけない、この言葉にちょっとだけせかされる感覚。認知しないようにしていたことを、認知してしまった。
いつもならワンクリックでつながっているホームページが、今日もまた遠く遠く感じる。
「内海さん、入りますね。」
先生が部屋に入ってきた。
「ご気分は?」
「死にたいです。」
「お元気そうで何よりです。」
「体の中がかゆいです。」
「ちょっと診察しますね。」
淡々と診察が進んだ。何の切迫感もない、診察が。
そういえば、うt主は何の問題があるからここにいるんだろう。
つい先日まで、日常生活を出来ていた。痛いところなんて、何もない。
今のところ体には、何の変化もない。体中の臓器が、軽快にリズムを刻んでいる。
ふと、思った。
「先生、、、」
「はい?」
そもそもな疑問が浮かんできた。
「この病気って、・・・・」
「・・・・・ですね。」
「えぇっと、、、」
うt主、絶句。
つまり、、、、、、ん?そう言われると、確かに先生は・・・。
『内海さんは、その後の検査でも体に悪いところは特にないですよ』って。
先生が帰った後、指が勝手に何かをしらべていた。
それっぽい記事を見つけ、目が勝手に読みあさる。
今までの切迫感が、しめ縄が、ほどけた。
どうやら、うt主は大きな勘違いをしてたらしい。
突発性小説投稿症候群についての現状と当研究所の見解
国立研究法人 部分文化研究会 陰属性研究所所長 野辺里 須戸
近年、上記の病気を発症する者が増加する中でいろいろな情報が飛び回っていることから、本研究所の現状の見解を示しておく。
① この病気についての概要
この病気自体には、特に身体への影響はない。よって重度であるからといって、すぐに死に至るわけでもなく、余命宣告があるわけでもない。実際、発症しても一般生活は可能で、そのような患者も多数確認されている。ただし、重症化すると動悸や発作による心理的負荷や突発的な自殺志望、他多数の症状へと発展することから、危険な病気として認識しなければならないものである。
② 感染者および症状について
軽度の場合、たまに小説を書きたくなる症状が出る。この症状は、某小説サイトで多数確認されているものだが、発症しても受診する必要のないことから現状の感染者の正確な把握には至っていない。本研究所では、国内におよそ百万人の感染者がいるものとしている。症状が悪化するにつれて、実際に小説を書きそれを投稿してしまう投稿症状、自分で異世界を作り上げてしまう妄想癖や中二病、さらに重篤化すると、自身が異世界にいるように感じるパラノイアなどへの症状へと発展する傾向にある。妄想癖や中二病を発症した時点で、速やかに医療機関へ問い合わせるのが理想である。
また、近年になって、某小説サイト以外でも似たような症状が確認されたため、今では正式名称突発性小説投稿症候群とまとめられることとなった。
③ 対処法について
軽度の場合は、一時的であることが多いことから基本経過観察となる。また、中程度の症状においては、セラピーなどで直すべきと国のガイドラインには示されてある。ただし、十代の患者も多いことから、アフターケアを継続しないと突発的に自殺志願してしまうので注意が必要である。重度患者についてだが、これは年に数人程度しかいないことから今の医療ではあまり関心が寄せられないが、これらにおいては、実際に売れる小説を書き上げ、それによる症状の緩和で対処するのが現代における唯一の処方箋といえる。(終)
読み終わった後、少しだけ笑ってしまった。
売れないからがんになるわけでも、売れないから寝たきりになるわけでも、売れないから目が見えなくなるわけでもない。そんな当たり前も忘れていた。
「・・・・・・・・」
改めて読み直しても、やっぱりすごい病気である。書きたいことはたくさんあるが、かかってしまったものはしょうがない。今は、書きたいがまま、小説を書いていけばいい。今は書くことで、少しでも落ち着いていられるから。
夜九時、なんもない病室。
二日ぶりに動かした指どもが、悲鳴を上げていた。後、首がやばい。正直、これ直んないといろいろつらいな。明日先生に相談しよう。
2673文字。なんやかんや二千字書き切れたな。
今はこんな感じで現状を書いてるが、いつかは、ちゃんとした物語を書きたい。
それは病気のせいではないと思う。あのときから、面白い小説達が次の面白い小説を作れって、伝えてる気がするから。
「さてと、なに書こうかな。」
なに、書こうかな。
あれ、何、書こう。
やばいな。
一作ラノベっぽいの書いてみようかな。
ラノベって、えっと
すべてを悟るのを待っててくれたのか、ピロッ、スマホが声をかけてくれた。
「よう鬱主。売れるネタ考えたか?もしよかったら相談乗るぜ!」
「A氏、助けて・・・」
「まあ、二年も読み専してたんだし、なんかすぐに思い浮かぶだろ。」
「A氏、タスケテ。俺、ない。」
何読んでたか、記憶に、ない。