第1話-5
「とりあえず追い掛けてみましょう。ミヤギノ本通りに行けばいると思うっすよ」
そうしよう。
噴水広場を走って、大手門をくぐる。近衛兵に「こいつら何してんだ」みたいな顔をされたけど、構わず走る。
100mほど走って、道路の傍らにサクラ発見。
「あ、えっと……アカネさんと、ヒバリさん?」
サクラ、1つ聞きたいことがあるんだ。聞いていいか?
「何ですか?」
さっきの魔法、何?
「さっきの魔法……というと……」
噴水広場からここまで、どうやって来た?
「どうやってって……普通にテレポート……」
普通にテレポート。
ヒバリに聞いたんだが、テレポートって理論上不可能らしいんだ。8級落ちたやつができるとは思えないんだが。
「……あれ?私魔法使ってました?」
魔法使ってたな。それも他の人が絶対に使えない魔法を。
「でも、2月に魔法検定受けたときは、8級落ちて……」
本当は準1級とか持ってたりしない?
「してたらこんなところにいませんよ……」
とりあえずさ、ここで立ち話も疲れるから、王宮に戻らないか?大広間でゆっくり話そう。
「それがいいっすね。落ち着いてゆっくり話を聞きましょう」
「分かりました……」
サクラがそう言うと、
あたしの視界が、虹色の光に包まれた。
光が消えると、……ここはどこだ?
「正殿の大広間っすね」
正殿の大広間。さっきまでミヤギノ本通りにいたはずなのに。
もしかして、またテレポートか?私たちと一緒に?
「私にもよく分からないんですけど……」
自分でも分からない魔法を使ったのか。
これだけは、確実に言える。サクラは魔法が使える。それも常人にはできない高度な魔法が。