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Silver Queen 魔法の国の女王様  作者: 中村千歳
第1話 サクラの辞書に、不可能の文字はない
4/50

第1話-4

 サクラ……だっけ?サクラも自己紹介するか?

「させてください……」

 お願いします。

「市立キリハラ第一高校出身……サクラ・シロカネ、18歳です……今年高校を卒業しました……」

 今日は4月1日。ってことは、3月に卒業したのか。今は大学生?

「えっと……大学は全部落ちて……」

 大学生じゃないってことは、高卒で就職したのか。

「……」

 まさか、無職?

「……はい」


 大学の入試とか就職の採用試験とかは、学校とか会社によって色々なんだが、大体共通してるものがある。

 それが、魔法の実技。実技試験を科すところがほとんどなんだが、魔法検定で一定の級を持っていれば実技試験は免除、なんてところもある。

 高卒レベルの5級くらいが相場なんだが、中には7級や8級で入れてくれるところもある。

 それで落ちたということは……。


 サクラ・シロカネ、魔法検定は何級だ?

「えっと……2月に8級を受けたんですけど、全属性不合格で……」

 全属性不合格?一番下の8級で?

「はい……私、魔法が全然使えないんです……」

 それなら大学も就職も決まらなかったのは無理がない。それで路頭に迷って、ここに来たわけか。

「孤児院の出身なんですけど、高校卒業したら全員出る決まりで……大学も就職も決まらなかったけど、出るしかなかったんです……それで、王都のミヤギノに行けば、何かあるかなって……」

 なんとなく状況は分かった。


 うちで雇ってやるぞって言いたいんだが、ヒバリ、王宮職員の募集って、まだやってるか?

「3月25日で締め切ったっす。定員オーバーになったんで、実技試験やって何人か落としたっす。補欠募集も無いっすね」

 そういうことだ。ちょっと来るのが遅かったし、8級落ちたなら仮に受けたとしても不合格だと思う。

「そうなんですか……」

 もし働き口が欲しいんなら、王宮じゃなくて、ミヤギノ本通りのお店に言ったらいいんじゃないか?雇ってくれるか分かんないけど、王宮よりは可能性あると思う。

「ヒバリもそう思うっす。王宮には可能性感じないっすね」

「そうですか……分かりました。行ってみます」

 早く決まるといいな。


 虹色の光に包まれて、サクラの体が消える。


 ちょっと待て。

 何が起こったんだ!?


 ありのまま起こったことを話そう。

 サクラの体が突然虹色に輝いて、それが消えたと思ったら、そこにサクラの姿は無かったんだ。

 8級落ちたやつが、どんな魔法を使ったんだ?

「テレポートっすかね?」

 いや、ヒバリはなんでそんなに冷静なんだ。

「でもおかしいっすね。テレポートは理論上不可能って言われてるはずですけど」

 魔法理論専攻のヒバリによると、この世界には、理論上絶対に不可能って言われてる魔法がある。死者を甦らせるとか、何も無いところから物を創るとか、時間を止めるとか。テレポートも、その中の1つ。

 それを、8級に落ちたはずのサクラが、どうやって?

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