第1話-1
(最初の2話のみアカネ視点)
第1話 サクラの辞書に、不可能の文字はない
女王が死んだ。
そのニュースは、瞬く間に国中を駆け巡った。
ハコザキ王国の女王様、カエデ・ハコザキ様。
カエデ様は、病気であることを、ずっと隠していたんだ。知っていたのは、内務大臣の私と、侍女のヒバリだけ。
そのカエデ様が、亡くなった。
35歳で亡くなったカエデ様には、子供も、兄弟姉妹もいなかった。養子も取っていなかった。何が言いたいかと言うと、ハコザキ王家の血筋が途絶えたということ。
女王様が代わるときは、先代の女王様が指名していればその人、指名していなければ女王様の意向を汲み取って内務大臣が指名するんだけど、
カエデ様は、生前にこんなことを言っていた。
「もし次の女王を一般市民から探すことになったら、最低でも3つ以上の属性で魔法検定2級を持っている人にしてください」
いや、そんな人いるのか?
内務大臣のあたしと女王様侍女のヒバリは、新しい女王様になってくれる人を、頑張って探しているんだが、
3つ以上の属性で2級を持っている人……そんな人は、聞いたことがない。