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時精物語  作者: 暁 瑚珀
8/12

第七夜 赤子

「私、麗斗君を怒らせるようなこと、したかな・・・?」


白羽はいつだってそうだった。

麗斗が帰ると、毎回そのことに首を傾げ、


「あ、夕ご飯の時間だ。」


と、すぐに切り替えていた。

白羽は髪が長い為、高等部でお団子ポニーにしていたが、それでも地面スレスレだった。

・・・つまり、かなりの長さになる。

彼女のロイヤルグリーン色の目は、年がなるにつれ、どんどん澄んでいき、

つられて、性格もマイペースになっていった。


麗斗は、逆に日に日に短気になっていったが、

村の人達への思いやりは、強くなっていった。

そのせいか、村の人々も幼い村長についていくようになり、

村全体が、纏まりつつあった。



ここまでが、白羽と麗斗の過去。



このころは、麗斗含め、村全体が一方的に避けていたが、

白羽は、そんなことは知らなかった。

・・・むしろ、気が付いていなかった。






















時精ときのせい・・・か。」


麗斗は、冷え切った夜空を見上げた。

腕の中で、赤子が小さく寝息を立てる。

よっぽど安心しているのだろう。

赤子の頬の焦げ痕の上に、小さな涙がこぼれていた。

親を呼ぶ為に泣いた、涙の痕。


「こんな小さな子供を見捨てるなんて・・・・・・。

 ・・・どんな親だよっ!」


唇をかみ締め、半分涙をこらえていった。

ちょっと頭に血が上ったが、赤子がおきそうになったので、また黙った。


「・・・そんな親でも、コイツには母さんや父さんもいるんだよな。」


麗斗にとって、それはとても羨ましかった。

・・・今の自分には、叶わない願い。






「麗斗様!!」


避難所に付いた麗斗は、即座に赤子の親を探した。

周りの声も、今の麗斗には、届かないようだった。

と、岩場の隅で、泣いている夫妻を発見した。

あの家の、持ち主だった。


「大丈夫ですか?」


麗斗は、とりあえず声をかけた。

向こうは、何も答えずに、ただただ泣いていた。


「はい、この子。」


泣く泣く母親に、腕の中の赤子をそっと渡した。

母親は、泣き止んだが、声がでなかった。

父親も驚いて、赤子が生きていたことに喜び合った。


麗斗は、その場をすぐに離れた。















「・・・れ?」


白羽が草原から起き上がる。


「私、何してたんだっけ・・・?」


髪の毛を結い直しながら、やっぱり首を傾げる。

と、結い止め用のゴムが、パチンと音を立てて切れてしまった。


「あ・・・。」


長い髪の為、ゴムが切れることは良くあるものの、

今回のは、結構新しかった。


・・・ちなみに、髪は切っても切っても伸びるので、しょうがないのだ。


「どうしよう・・・。結わないと、邪魔になるんだよね・・・。」


と、切れたゴムを探そうと、草むらに手を伸ばした。

その手に、コツンと何かが当たった。


「・・・?」


手にとって見ると、夜空に光る、青白いガラス玉が二つ付いた、髪ゴムだった。

ガラス玉は、少し濁っているようで、月の光に反射していた。


「・・・綺麗・・・。」


丁度、ゴムを失くしたので、白羽はその髪留めで髪を結った。

使いやすく、何かが抜けるような気がした。

村の炎は、治まりつつあった。

それを、何か白い光が囲っていた。


が、白羽はそれに気が付かなかった。



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