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時精物語  作者: 暁 瑚珀
7/12

第六夜 村

麗斗れいとは、白羽しらはの生まれた後、この世に生を受けたという。

そしてその後、病弱だった母親はまもなく息を引き取り、

白羽と同い年の、小さな麗斗を、村長は一人で育ててきた。



が、赤子・・・白羽を贄に出す為、父親おも亡くす。



麗斗は大婆おおばばに預けられたが、父親が逝ってしまった後、

村長が死んだ、という情報を誰も知らぬ前に、

泣き止む事無く、嵐のように泣いたという。

まるで、自分が殺したかのように、一番に泣いたという。











麗斗は、そのまま大婆に育てられた。

そして、山の活動が終わったにも関わらず、長達が帰ってこない、と

勘付いた人々が、山を登ってみたところ、

長達の姿は見当たらず、あの、小さな赤子一人が残されていた。


村人達は、時精が長達を殺してしまった、と推測し、

赤子をこのまま放って置くと、今度は村全体に被害が出るのではないかと恐れ、

赤子を連れて、村に戻った。





赤子はその後、大婆の下へと渡った。

その場にいた、同じ年の麗斗は、もう一人の赤子を見ると、

やはり、大泣きしたのだった

そして、時精の赤子の側には、まれに、白い猫がうろついていて、

麗斗の側には、その猫とま逆の、漆黒の色をした猫が、時々寄り添っていた。

その猫は、紅い燃えるような瞳を持ち、

首下に青い透き通った石が、アクセとして付いていた。


五年の月日が流れると、大婆は麗斗に時精の話をし、

殺された父親は、一緒にいる子に殺された、と言った。

麗斗は、酷く落ち込んだ。

部屋に篭りきり、食事もしなくなった。

が、数日後、麗斗が長になった時、

麗斗は、すぐさまもう一人の子を、大婆の家から追い出し、

自分も、親の住んでいた場所に、住み戻った。


この頃から、時精の子のことを、村人は『白羽』と呼び始めた。


白羽の白い髪は、五歳児とは思えないほどの長さに伸びていき、

羽根のように軽いことから、そう呼ばれていた。

そして、時精の白髪は、とても長かったとか。

が、問題の紅い)は、年が経つにつれ、徐々に色を薄くし、

淡い、森の木漏れ日のような色へと、変化していった。









それから、災難が起こることもなく、白羽と麗斗はお互いを避けながら過ごして行った。

何事も起こらず、むしろ豊作が毎年続くと言う、穏やかな日々になっていった。



白羽に寄り付く人は、それでも出なかった。

彼女の家に行くのは、麗斗だけ。

それも、父親のことを訊ねる為だけに、週に一回。

白羽は、その頃の記憶は一切残っていなかったので、

麗斗が、いくら怒鳴っても、首を傾げるだけだった。

短気な麗斗は、彼女の行動に、いつも腹を立てて帰っていた。


・・・その光景は、村の人々が嫌な眼で見つめることになっていたが、

別の方向から見れば、仲の良い、兄弟喧嘩のようにも見えた。



白い猫は、それ以降、姿を現さなくなった。

同時に、黒い猫も、村に訪れることは無くなった。




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