第二夜 炎
「た、大変・・・む、村・・が・・・。」
それ以上は何もいえなくなり、その場に座り込んでしまった。
白羽が混乱するのも、無理は無い。
自分の住んでいる村が、今、目の前で赤々と燃えているのだから。
村から、人々の叫びが聞こえる。
紅く燃える炎。
逃げ戸惑う、人、人、人。
(この感じ、どこかで・・・)
涙目になりながら、そう思った。
確かに、これに似た景色を見たことがある。
なのに・・・思い出せない・・・。
記憶が記憶に、蓋をしてしまっているように、
今の白羽には、何もわからなかった。
「っう・・・!!」
激しい頭痛が、白羽を襲う。
立っていられなくなって、うずくまる白羽。
もちろん、そんな白羽に声をかける人など、誰もいず・・・。
細い細い砂利道を通る、村の人々。
長い草原に、人がいるなんて誰も思ったりしなかった。
自分が助かる為に、山の外へ、遠くへいけるように。
村の中から、赤子の叫び声が響く。
何も出来ない、小さな赤子を、親は見捨てた。
歩くことも、話すことも出来ない。
火の中に置き去りにされたら、必ず死んでしまうだろう。
(死んでしまう・・・?私、誰かに捨てられた・・・?)
殴られるような頭痛を必死に耐え、白羽は考えた。
でも、もう限界に近かった。
長い若草は、白羽の体を優しく受け止めた。
「村の皆は、外へ逃げたか・・・!?」
麗斗が、炎の中、その勢いに負けずに声を張り上げていた。
大柄な男達の中の一人が、弱気な声で答えた。
「大人、それとかなりの子供は逃げました。
ですが・・・。」
「ですがじゃねぇ!まだ誰か残っているのか!?」
麗斗の目が、鋭く光る。
「は、はい。山に一番近かった家の赤子が・・・。
親に置いてかれてしまったそうです。」
その答えは、麗斗の怒りを爆発させた。
「馬鹿者!何故助けに行かないのだ!!
・・・もういい。皆も避難所へ行け。怪我人の手当てをしてやってくれ。」
麗斗は、そういうと、ローブを翻し、火が最も高く上っているところへと急いだ。
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