表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時精物語  作者: 暁 瑚珀
3/12

第二夜 炎

「た、大変・・・む、村・・が・・・。」


それ以上は何もいえなくなり、その場に座り込んでしまった。

白羽が混乱するのも、無理は無い。

自分の住んでいる村が、今、目の前で赤々と燃えているのだから。

村から、人々の叫びが聞こえる。

紅く燃える炎。

逃げ戸惑う、人、人、人。


(この感じ、どこかで・・・)


涙目になりながら、そう思った。

確かに、これに似た景色を見たことがある。

なのに・・・思い出せない・・・。

記憶が記憶に、蓋をしてしまっているように、

今の白羽には、何もわからなかった。


「っう・・・!!」


激しい頭痛が、白羽を襲う。

立っていられなくなって、うずくまる白羽。

もちろん、そんな白羽に声をかける人など、誰もいず・・・。


細い細い砂利道を通る、村の人々。

長い草原に、人がいるなんて誰も思ったりしなかった。

自分が助かる為に、山の外へ、遠くへいけるように。


村の中から、赤子の叫び声が響く。


何も出来ない、小さな赤子を、親は見捨てた。

歩くことも、話すことも出来ない。

火の中に置き去りにされたら、必ず死んでしまうだろう。


(死んでしまう・・・?私、誰かに捨てられた・・・?)


殴られるような頭痛を必死に耐え、白羽は考えた。

でも、もう限界に近かった。



長い若草は、白羽の体を優しく受け止めた。




















































「村の皆は、外へ逃げたか・・・!?」


麗斗が、炎の中、その勢いに負けずに声を張り上げていた。

大柄な男達の中の一人が、弱気な声で答えた。


「大人、それとかなりの子供は逃げました。

 ですが・・・。」


「ですがじゃねぇ!まだ誰か残っているのか!?」


麗斗の目が、鋭く光る。


「は、はい。山に一番近かった家の赤子が・・・。

 親に置いてかれてしまったそうです。」


その答えは、麗斗の怒りを爆発させた。


「馬鹿者!何故助けに行かないのだ!!

 ・・・もういい。皆も避難所へ行け。怪我人の手当てをしてやってくれ。」



麗斗は、そういうと、ローブを翻し、火が最も高く上っているところへと急いだ。



.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ