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Baseball Love 主砲の一振り  作者: sky-high
メジャースタイルと日本スタイルの融合
64/138

ナックルボーラー 希崎舞

0対0のまま、試合は投手戦となり、七回表エンペラーズの攻撃は3番のトーマスJr.からという好打順だ。


エンペラーズ高峰は六回を投げて被安打1 奪三振4 無四球という素晴らしい内容。


ガンズの先発真中も、被安打2

奪三振2 、1四球という好投だ。


トーマスJr.は三回目のバッターボックスに立つ。前の打席は真中のシンカーにタイミングが合わず、セカンドゴロに終わった。


真中の投球術に成す術なく終わるのか。


初球はアウトコースわずかに外れてボール。


(軌道だ。球の軌道をよく見るんだ)


トーマスJr.は自分に言い聞かせながらバッターボックスを外した。


一呼吸置いてから打席に入る。


二球目を真中は投げた。


インコースギリギリに入るスライダーが決まりワンストライク。


(ストレートを狙おう)


ガンズバッテリーはトーマスがまだ真中の球にタイミングが合ってないと思っている。


三球目。チェンジアップを投げた。


トーマスJr.は見送る。

「ボール!」


カウントはツーボール、ワンストライク。


(次はストライクに入れてくるだろう。となると変化球ではなくストレートに違いない)


トーマスJr.はバットを構え直した。


真中が四球目を投げた。


(きたっ!)


インコースやや低めのストレートだ!


トーマスJr.は上手く腕を畳んで素早く振り抜いた。


鋭い打球はレフトフェンス直撃。

トーマスJr.は一塁を駆け抜け二塁へ。

ノーアウトランナー二塁で打席は昨年真中から3本のホームランを記録した4番の高梨だ。


ここでガンズベンチは動いた。

「ガンズ、選手の交代をお知らせします。ピッチャー真中に代わり希崎。背番号77」


ガンズはここで真中を交代させ、初の女性プロ野球選手、希崎 舞を投入。


球場内は一斉に沸き上がる。


ガンズ一番人気の希崎がマウンドに登場した。


女性ながら、日本球界ではお目にかからないナックルボールの投手として、リリーフ投手して起用されている。


そしてキャッチャーはナックルボール用の一回り大きいミットに代える。


ナックルボールとはナックル(拳)のようにボールを握り投げる事により、無回転で空気抵抗を受け、変化を起こす。揺れながら落ちたり曲がったりするので軌道が読めない。


希崎はナックルを武器に今シーズンは防御利率0.62 3ホールドという素晴らしい成績をあげている。


希崎は高校生の頃から女子野球でナックルボールの使い手として脚光を浴びた。


かつて野球協約第83条第1項に「医学上、男子でない者は支配下選手になれない」という条文があったが、近年はこの条文は削除されている。


そしてガンズは希崎ドラフト4位で指名した。


投球練習が終わりプレイが再開した。





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