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Baseball Love 主砲の一振り  作者: sky-high
メジャースタイルと日本スタイルの融合
59/138

ゲームメーカー中田

高峰は、五番の熊谷を三振で切り抜けた。


しかしまだワンナウトでピンチは続く。


六番の真田が打席に入る。


ストレート(フォーシーム)主体で攻め、最後はアウトコースからストライクゾーンに入るバックドアで見逃しの三振。


熊谷同様、あれがストライクか?という表情をしていた。


ツーアウト、ランナー三塁となり、七番の町田が打席に入る。


初球ストレートでストライクを1つ、二球目はツーシームで早くもツーストライク。


三球目は高めに外す釣り球で思わず手が出て三球三振。


「っしゃ~っ!!」と高峰はマウンドで吠えた。


ノーアウト、ランナー三塁を三者三振という圧巻のピッチングで0点に抑えた。


ベンチでは、「ナイスピッチ!」と拍手をして高峰を迎えた。


特にスミス総合打撃コーチは驚いた表情で「ケースケ! Marvelous(素晴らしい!)」と言って大はしゃぎしていた。


スミスはベンチの中ではムードメーカーのような役割も買って出ている。


選手を気持ちよくグランドに送り出すのが私の仕事だと言う。


その代わり、怠慢なプレーをする選手には厳しく注意する。


野手だろうが、投手だろうが良いものは良い、悪いものは悪いとはっきり伝える。


佐久間とスミスがコーチに就任してから雰囲気が変わった。


榊もトーマスJr.もかつてのトラブルメーカーのような雰囲気から少し変わりつつある。


まだほんの少しだけだが。


打順は七番のキャッチャー木下からだ。


ガンズ先発の真中の前にいまだノーヒットのエンペラーズ。


真中の下手から投げる直球と変化球にタイミングが合わない。


しかもサウスポーでアンダーハンドとなると、左打者はかなり手こずる。


球の軌道が見えにくいのだ。


投げた瞬間、軌道が消え、背中からから球が出てくる様な投球だ。


その軌道を一瞬で捕らえ速く鋭く振り抜く。


天才と言われている櫻井でさえ、いまだに真中からホームランを打ったことがない。


シングルヒットのみで、長打はまだ打っていない。


すると右のバッターに期待するしかない。


エンペラーズには右の主砲、高梨がいる。


高梨は真中に滅法強く、昨年も3本のホームランを放っている。


前の打席はライナー性の良い当たりだったが、ショートの目の前で運悪くアウトになった。


真中を打ち崩すには揺さぶりをかけるしかない。


木下は意表を突いて、セーフティバントを試みた。


打球は上手く一塁線上のラインギリギリで止まり、木下は一塁に。


エンペラーズは真中から初安打を放つ。


続いて八番はセカンドの中田。


ノーアウト、ランナーは一塁。


内野手はゲッツーを狙う為、前進守備となる。


中田は開幕から二番打者として、小技の上手い選手として活躍していた。

いわゆるスモールベースボールの典型的な選手の1人だ。


次はピッチャーの高峰だが、ここは確実に塁を進めたい。


初球バントの構えをする。


一塁手と三塁手は猛ダッシュでチャージをかけてくる。


中田は素早く構えを引く。


インコースに決まるストレートでワンストライク。


続く二球目もバントの構えをする。

また一塁手と三塁手がダッシュしてくる。


インコース低めの球が外れてボール。


中田は業師だ。

そう簡単にバントはしない。


そして三球目、アウトコース低めギリギリに入るストレートでツーストライクと追い込んだ。


ツーストライクからのバントは無いだろうと思うのだが、中田はツーストライクからでもバントを成功させる率が高い。


と言って猛チャージをかけた途端、バットを構え直しヒッティングにすることも上手い。


投手としては、追い詰めたつもりだが、実は中田の術中にハマっている。


中田の小技からエンペラーズ打線が爆発し、勝利に繋がるケースが多いのだ。


地味な存在ながら、チャンスを広げる中田の評価は高い。


そして四球目は高めに外れるコースでボール。


ツーボール、ツーストライクと平行カウントになる。


ガンズは最悪、中田を歩かせても次の高峰で勝負すれば併殺プレーで切り抜けられると考えているようだ。


次の球もボールに外れるだろうと中田は読んだ。


そしてその読み通り高めに外れた中途半端なストレートだった。


中田はそれを見逃さず、上手く流し打ち、打球は一塁、二塁の間を抜けるライト前ヒット!


木下は一気に三塁まで駆け抜けた。


ノーアウト、ランナー一塁、三塁というチャンス。


ピンチの後にチャンスあり。

この言葉はよく聞くが、その通りになるのが野球の面白いところでもある。


そしてピッチャーの高峰が打席に入る。


外野フライでも一点入るケースだ。


高峰がゲッツーになったとしてもその間に木下がホームに返れば一点を取る事ができる。


この状況が一番点を取りやすいケースなのだ。


ガンズも一点で抑える事が出来れば良いという考えだろう。


高峰は打席の外側に立つ。


ただ構えているだけで打つ気はないのだろう。


ピッチャーはストライクゾーンに三球投げれば簡単にアウトを取れるのだが、意外とこれが難しかったりする。






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