日本のストライクゾーン
トーマスJr.に限らず、助っ人外国人プレイヤーはストライクゾーンの違いに戸惑う。
ボールの違いもあるのだろうが、1番はストライクゾーンの違いだ。
ザックリ言えばアメリカでは外角はボール1個分は許容範囲(ベースから外れていてもストライク)で、
一方内角はボール半分厳しい
という事になる。
トーマスJr.は1年契約としてエンペラーズに入団したが、1シーズンだけで日本のストライクゾーンに対応できるかどうか。
全く対応出来ずに帰国した選手も多数いる。
それと日本の投手はストライクゾーンで勝負せずに、ストライクからボールになる球で勝負する。
真っ向から勝負するのではなく、かわすようなピッチングをする。
トーマスJr.もそれに戸惑った。
対応出来るにはどうすればよいのか?
身体で覚えるのが一番なのだろう。
フリーバッティングでは、ストライクゾーンギリギリのコースに投げてもらい、日本のストライクゾーンに慣れるしかない。
とはいえ打撃投手に投げてもらう球と試合の球はスピードもキレも違う。
「おい、ゴリラ!テメーが打たねぇとウチは優勝できねーんだとよ!たかだか一年で日本の野球が分かるかってんだ、バカヤローが!」
榊がバッティングゲージの後ろで腕組みしながらトーマスJr.に言った。
「今の言葉一言一句間違えないように訳してくれよ」
通訳の吉田に伝えた。
吉田がトーマスJr.に伝えるとみるみるうちに形相が変わった。
「 Don’t give a fuck with me(このくそガキがっ!)」
トーマスJr.はバットを持ち榊に詰め寄る。




