条件は3つ
「さて、オーナーさん。これをバラしたらアンタどうなる事か解ってるよな?」
珍太朗が畳み掛けた。
「ふっ!そんなものどうにでもなるわっ!ウハハハハハハ!」
「あ、これウチのオーナーにも送ってあるから」
「にゃんと!!」
結野の顔が青ざめた。
「ちょい待ちな」
珍太朗はスマホを取り出した。
「アンタにいい人を会わせてやるよ」
珍太朗はニヤリと笑った。
次の瞬間、ドアが開き、何者が入った。
入ったはいいが、いきなりつまずきズッコケ顔面を強打した。
「ぬぎゃっ!」
そのマヌケが鼻血を出しながら立ち上がった。
「ぬーーーーーん!!プロ野球のオーナーとしてあるまじき行為!このセクハラヤローめ、球界から消えてしまえ!ムヒョヒョヒョヒョヒョ!」
入ってきたのはエンペラーズオーナー 阿佐 太智夫だった。
「そういう事だ、結野アナ!テメー、名前の通り小せぇヤツだな、ワハハハハハ!」
何とライバルであるエンペラーズのオーナーにも企みがバレてしまった。
結野は四面楚歌に陥った。
「お前はもう球界からいなくなったんじゃないのかっ?何故今更ノコノコと出てきたんだっ!?」
結野が珍太朗を睨み付ける。
「わかってねぇな。おい、アレ」
「にゃに?」
阿佐はポカンとしている。
「アレ出せ、バカ!」
バシッ
「んぎゃっ!」
いつの間にか阿佐が珍太朗のパシりになっていた。
阿佐がサングラスとつけヒゲを渡した。
「これでもわからねぇか、このくずヤロー」
「お前、ナダウ・ヤマオカじゃないかっ!」
まさか珍太郎がナダウ・ヤマオカだとは思いもよらなかった。
「気づくのが遅い!」
バキッ!
「ノヮッ!」
珍太朗はすかさず目の前の椅子を踏み台にした、シャイニングウィザードを顔面にヒットさせた。
「おい、結野アナ!アンタの出方次第でこの話なかった事にしてやってもいいんだ。どうなんだ?」
珍太朗は条件を出してきた。
「条件か?金か?それともこの会社を乗っ取るつもりか?」
「にゃんと!それいい条件ぬ!早速乗っ取るぬムヒョヒョヒョヒョヒョ」
阿佐は高笑いしている。
「テメーもすっこんでろ!」
ウザい、とばかりに阿佐に垂直落下式ブレーンバスターを見舞った。
ドガッ!
「むぎゃ~っ!!」
阿佐は垂直に突き刺さったままだ。
「条件は3つ」
「どんな条件だ?」
結野が恐る恐る聞く。
「まず1つ。大和君をエンペラーズに貰おう」
「何だって~っ!そんなバカな条件飲めるかっ!」
結野は慌てた。
「あっそ!んじゃオーナー全員とプロ野球機構にバラそっ」
「わかった!わかったから!な、だから言わないでくれ」
「よし!じゃ、すぐに大和君をトレードに出すんだ!しかも金銭トレードでだ!」
珍太郎は強かだ。
大和を是が非でもエンペラーズに欲しい。
その為にこの条件を出した。
「交換トレードじゃないのか!ウチの戦力ががた落ちになるじゃないかっ!」
更に結野が慌てる。
「やかましぃ、このイカサマヤローが!」
珍太朗はヘッドロックに捕らえ室内の壁に激突させた。
ドガッ!
「んぎゃっ!!…ゎ、わかったそうする」
結野の額が少し割れて出血していた。
「で、二つ目!これを白状したボールメーカーとパンチ君の中に入ってたヤツ、それと盗聴器を聞いてたヤツらには一切の手出しをするな!ちょっとでもやったら、こっちに連絡が入るようになってるからな!」
珍太朗はイカサマ野球に加担した関係者は、オーナーに無理矢理強要されていた。その人達には罪がない。
断れば明日からの生活が断たれてしまう危険性があるからだ。
「で、最後。他のチームにゃやっても構わんが、エンペラーズとの試合じゃ一切のイカサマを禁止する!分からねぇようにやってもこっちはプロだ!んなもんすぐに見破っちまうからな!」
「…わかった。その3つを飲もう…」
観念したようだ。




