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Baseball Love 主砲の一振り  作者: sky-high
カラクリを暴け
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広報 真野彩香

珍太朗不在のエンペラーズは、本拠地の静岡エンペラーフィールドで、東北ブレイカーズとの三連戦をスウィープ(全勝)し、勝率を5割に戻した。


投打のバランスが噛み合い、ようやくエンジンがかかってきたようである。


スポーツ紙では、【ヤマオカ監督不在のエンペラーズ三連戦】または【坂本代理監督の采配ズバリ的中】等とヤマオカ監督休養が長引くような記事を載せていた。


4番のトーマスJr.は2試合連続ホームランを打ち調子が上向いてきたようだ。


チーム内では、櫻井がタブレット片手に翻訳アプリを使いながらトーマスJr.と片言の英語をやりとりしている。


トーマスJr.もそんな櫻井を気に入り、片言の日本語でコミュニケーションを取り、和気あいあいとした風景が見られた。


問題児と言われたトーマスJr.だが、敬意をもって接すれば彼もそれなりの対応をする。


櫻井だけじゃなく、若手もトーマスJr.を慕い、トーマスJr.も時には身ぶり手振りで若手にアドバイスを送り、まるでコーチのような存在になりつつあった。


トーマスJr.は思った。


日本の野球も捨てたもんじゃないと。

そして自分がアドバイスをして、選手がそれを素直に実行してくれる。


こういうのも悪くないな…と。


オープン戦当初に比べると随分笑顔が増えてきた。



そして、一週間の休養宣言をした、ナダウ・ヤマオカこと、宇棚 珍太朗は、四国に滞在したまま、パンチャードームのカラクリを見破るべき、アメリカ時代に知り合ったエージェント達と共に作戦を遂行しようとしていた。


珍太朗は、ひろしが出会い系で女性からのメールを受け取り一目散に待ち合わせの場所に向かったのを確認してから、ホテルへ戻った。


後はエージェント達からの連絡を待つのみ。



しばらくして珍太朗のスマホから着信がきた。


珍太朗はホテルを出て、ある場所に向かった。


向かった先は、パンチャードームの側にある個室で仕切られた居酒屋である。


そこには、エージェント数名と、1人の女性が待っていた。


「すまなかった、変な役を押しつけて」

珍太朗は女性に頭を下げた。


「いいえ、とんでもない。これで役に立てるなら」


真野まの 彩香あやか

土佐ハードパンチャーズの球団広報で現在28才。語学留学の経験もあり、英会話堪能の才色兼備である。


「で、さっきまでアイツと会っていたんだって?」


珍太朗は彩香に聞いた。


「監督さんのご子息でしたよね、ウチのGMって?でも何でもあんなおかしな人なんだろ。しかも自分の球団の広報の顔も知らないでw」


そう、桜と名乗るサイトの女性の正体は彩香だったのである。


「しかし、君の球団を追い詰めるようになるんだが、ホントに大丈夫なのかい?」


珍太朗は彩香に念をおすように確認した。


「問題ありません。あの球団は一度どん底を味わうべきですから」


彩香は球団広報という肩書きだが、実際はハードパンチャーズオーナー結野の私用に振り回される被害者の1人であった。


セクハラは当たり前で、関係を迫られた事も度々あった。


公に発表しようとも思ったが、他の球団職員の行く末を考慮して我慢していた。


珍太朗と接点を持つきっかけとなったのは、珍太朗がナダウ・ヤマオカとして監督に就任して間もない頃だった。


パンチャードームで試合前の練習に彼女から声を掛けてきた。


「あの、失礼ですけど。宇棚 珍太朗さんではないですか?」


かなり狼狽えた。


宇棚 珍太朗と見破った人物は彼女だけである。


彼女の父親が熱狂的なスーパーフライヤーズファンで、宇棚 珍太朗のグッズコレクターでもあった。


幼い頃から父親の影響で宇棚 珍太朗に関する事なら何でも解るようになり、ナダウ・ヤマオカを宇棚 珍太朗と見破る事など容易かった。



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