パンチャードームのカラクリ
第3戦この試合はハードパンチャーズが初回に3点を挙げ優位に進めていた。
珍太朗達は今日も観戦していた。
ボールのすり替えは見破った。
後はサインをどうやって盗んでいるのか。
何らかの形でベンチにつたわっているはず。
どのようにして相手チームのサインが解り、そして相手ピッチャーの球種が分かるのか。
少なくとも今まで投げてきたピッチャーにクセは分からない。
謎だ。
仮にピッチャーの球種を読んだとしても、全てのピッチャーの球種を読むことは難しい。
それと何と言ってもセーフティバントやスチールのサインまであっさりと読まれる事が不思議でならない。
ハードパンチャーズの守備位置が動きを読んでいたかのようにコロコロ変わるのがあまりにも不自然だ。
(どこかに必ず隠されている)
マスコットキャラクターのパンチ君の動きを観察していた。
この三連戦、珍太朗はパンチ君の動きを注意深く観察した。
攻撃の回と守りの回と詳しくチェックした。
「 Don't take your eyes off the cheering party of the outfield bleachers (外野の応援団から目を離すな!)」
珍太朗はエージェント達に伝えた。
外野席ではハードパンチャーズの応援団が旗を振り大太鼓を叩きながら応援をしていた。
攻撃の時と守備についた時は応援仕方が違う。
守備の際、激しく旗を振り、速い拍子で太鼓を叩く場面が幾度かあった。
そしてアウトを取ると普通の応援に変わる。
注意深く観察しよう。
するとまた激しい応援になった。
その応援に呼応するようにパンチ君がアクロバットな動きをする。
バク転をしたり、ダンスをしたり。
守備に目をやると、ランナー一塁の場面で、打者は進塁打のサインが出ていたのであろう。
バッターは一塁二塁の間を抜けるような流し打ちをした。
しかし、ハードパンチャーズの守備位置はいつの間にか極端なシフトを敷いていた。
一塁と二塁の間がかなり狭くショートの大和は二塁のベース上にいた。
サードは二塁のベースカバーに備えていた。
あたかも相手の動きを読んでいたかのように。
(分かったぞ…)
珍太朗は確信した。




