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05.爺さんの昔話

「儂は、元々この世界の出身なんだ。」


「すごいんだね。」

 遥は素直に賞賛していた。


 爺さんは俺を見た。


 いいから俺の反応なんか気にせず、話を先に進めろ!


 爺さんは寂しそうな目を向けてから生い立ちを語ってくれた。


 爺さん曰く、王家の血を引く王子様だということだ。


 本当か?


 騙ってるんじゃないだろうな。


 俺が不審な目で見ていると、傍にいたあの魅惑の熟女さんが睨み付けてきた。


 しょうがないだろう。


 何もここには証拠がないんだから。


 俺達が睨み合っているうちに話は佳境に入り、終焉した。


 かいつまんで話すと、王位継承で命を狙われた爺さんは、側近である魔術師の力を借りて異世界に逃亡したらしい。


 そして、機を見て、こちらに戻って来ようとしていた途中、俺達の婆さんに嵌められ、母さんが出来ちゃったそうだ。


 出来婚か!


 そこで、彼を逃してくれた魔術師共々、その世界に移住したようだ。


「でっ、なんで爺さんは、そんなに若いんだ。俺から見れば父さんと変わらないぞ。」


「あっ、これか。実は向こうの世界で生活していて気づいたんだが。こっちの世界と向こうの世界では、時間軸が少し違っていてな。まっ、いわゆる、こっちの世界に来ると向こうで過ごした時間の三分の一しか立っていなんだ。」


「つまり、三分の一の年齢になるのか?」

 爺さんは頷いた。


 おい、それって詐欺って言わないか。


「ところで、さっきから爺さんの隣にいる人はだれなんだ?」

 俺は、一番の疑問に思っていたことを爺さんに聞いた。


「ああ、彼女は儂の婚約者だ。」

 爺さんはしれっと言い放った。


「こ・ん・や・くしゃ・・・。」

 この魅惑の熟女が爺さんの婚約者だと。


 俺はあまりのことに唖然として、倒れそうになった。


「こんな爺でいいのか、あんたは!」

 俺が思わず叫ぶと、


「私の王子様になんて無礼な。」

 途端、魅惑の熟女さんから鉄拳が飛んできた。


 俺はそれを片手で防ぐと、爺さんを見た。


「でっ、爺さん。俺に何をやらせたいんだ?」

 事情はわかったが、爺さんが理由もなく俺をここに呼ぶとは思えない。

 そう思って爺さんを見ると、爺さんから王家秘蔵の剣を渡された。


「なんだ、これ?」


「いいから、剣を抜いて見ろ。」

 爺さんから急かされ、何の気なしに剣を抜くと抜いた途端、ビリッと手がしびれた。


 なんだと思って痺れた所を見てみると、そこには綺麗な模様が浮かんでいた。


 はっ、なんだ。


 これ?


「いやー、よかった。これで妖魔退治はお前に任せられる。」


 おい、爺さん。


 今、なんて言った。 


 なんか妖魔退治とか聞こえたんだけど。


「すごいね。」

 遥が目をキラキラさせて俺を見ていた。


 おい、俺はどこかの特撮ヒーローじゃねえぞ!


 周囲は俺の思いに反して、ヒーロー誕生を喜び合っていた。


 ちょっと、待て。


 コラァ!

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