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アースガルズの私様  作者: 富良野義正
TRPG世界に悪神が転生したらまったくゲームにならない件について
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TRPG世界に悪神が転生したらまったくゲームにならない件について その六

 じゃあ皆さんは郊外に出ます。辺りは月と町の明かりで薄っすらと照らされています。だけど辺りがちゃんと見えるのは少女自身が神々しく発光しているからです。少女はまったく敵意の感じない声で言います。

「お願いします、私のことを信じてください」


「聴く耳を持ってはならない! こいつは攻撃を受け付けない化け物だ! マジックアローを使います。ダイスロール、93……詠唱失敗か!」


 ざまあみやがれ。ロキシスは詠唱中に馬の糞を踏んでいることに気がつきマジックアローは中断された。


「ファ〇ク」


 次はトートルさん。


「近づいてハンマーで攻撃。ダイスロール……63」


 自然に戦闘に入ってますけど、敵じゃありませんから。振り下ろしたハンマーはあらぬ方向に飛んで行きました。次ブラーギさん。


「エリンヘリアルの賛美歌を使用します。これで全員の命中が1あがります」


 変わりに唄っている最中は後退ができません。死亡率を格段に上げるスキルを即効使うブラーギさんぱねえっす。次、フレイさん。


「攻撃すればいいのだな……ならば勝利の剣で突撃する! 38!」


 だからロングソードだって言ってんだろうが! 突撃は外れて少女を横切ります。最後、シギュンさん。


「ロキシスさんにブレスをかけます」


 それ筋力をあげるスキルだから。ロキシス魔術師だから。じゃあオーディンの祝福を受けたロキシスの筋力は1あがった。


「糞嫁、てめえ、オーディンの祝福なんていらねえんだよ! 何しやがる!」

「ごめんなさい、ロキシス様。もっと虐め抜いてください」


 じゃあ最初に戻ります。ロキシスさん。


「もうブラギを除いて全員自動攻撃でいいだろ。ダイスロール連打しておけ14 50 67 28 31 88」

「79 94 78 45 57」

「29 80 53 62 01」

「GM,フレイにスーパークリティカルが出たでござる。ルールブックではテュールの加護によりあらゆる条件を無視して防御無視して必ず当たると書いてあるぞ、フヒ。フヒ! あこれロシキスの台詞です」


 …………


「どうしたのだ? さっさとダメージ判定するがいいでござるよ」


 40年間引きこもりのニートがくたばれ。フレイの剣はテュールの加護により少女の腹部に突き刺さった。血のあぶくを吐きなら少女は言います。

「どうか……私を、信じてください」

 それだけを言うと少女は地面に黒い水溜りを作りながら倒れました。


「やったぞ! 俺達の勝利だ!」

「まあ、私の詩のおかげなんですけどね」

「私の一撃が炎の巨人を屠ったというのか」

「やったぜ」

「ロキシス様に従います」


 はいはい。それでこれからどうするつもりですか。


「当然死体を埋めるに決まってるだろう。証拠になるフレイのロングソードと共にな」

「わ、私の剣はやらんぞ!」

「しかしそれは勝利の剣ではないぞ。勝利の剣ではない武器に貴様は頼ることができるのか?」

「まあ……そう言われればそうだな……」


 少しは反抗してください。じゃあ皆さんは助けを求めて来た少女を奴隷商人に売った挙句、復活してきた彼女を殺して郊外に殺害の証拠と共に埋めました。めでたしめでたしですね!


「何かすっきりしないがな」

「まあ指紋なんて採取できないでしょうから……多分ばれないでしょうね」

「どうやらラグナロクを防いだようだな」

「パ、パーティの危機は私様が防いでやったんだからね!」

「ロキシス様の言う通りだと思います」




 じゃあ、皆さんは目撃証言によりバルドルを信仰する宗教の最高司祭の少女を殺した罪に問われました。全員極刑が言い渡され死にました。バッドエンド。これでセッション終了です。


「おかしいではないか。これから逃げればヨトゥン・ヘイム近郊まで逃げられるだろう。ならば簡単に捕まることは無いと思うのだが」


 あーもうそれでいいよ! もう終わりだ! てめえらのGMは二度とやらねえからな!

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