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アースガルズの私様  作者: 富良野義正
TRPG世界に悪神が転生したらまったくゲームにならない件について
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TRPG世界に悪神が転生したらまったくゲームにならない件について その五

 じゃあ皆さんは、か弱い、助けを求めている少女を、残酷にも奴隷市場に売りました。まったく邪神共の集まりなんじゃないんですかね。


「デュフフ、邪神って、まるで厨ニでござる……デュフ!」


 ロキシス、てめえ無事にラグナロク迎えられると思うなよ。さて宿屋についたときは既に夕方でした。宿屋街にある宿屋には幾らかのランクがあります。


「野宿は出来ませんか」


 推奨されません。巡回している衛兵に叩き起こされることでしょう。交番で朝を迎えることもできません。


「変なところだけは妙にリアルですね。なら普通の宿に止まりましょう」


 ではブラーギさんの意見により皆さんは普通の宿に入ります。カウンターには若い女性がいます。一部屋一泊銀貨一枚です。何部屋取りますか?


「一部屋にまとまって泊まれないのか」


 可能です。トートルさんの通りに部屋を取りますか?


「この言い方、絶対取る部屋の数でイベントが変わるのだろう。なら一つの方が対処しやすいのではないか」


 フレイさん、そんなキャラじゃない癖に鋭い意見やめてください。フレイさんも同意したので一部屋を皆さんは借りました。


「ひ、一つの部屋に、い、いっぱいの人……ああ、一人の部屋が欲しい! 引きこもりに戻りたい!」


 ニ〇厨引きこもりロールプレイご苦労様。ちなみに漫画一つありませんからね。では皆さんは部屋に入って食事を食べたら寝ます。異議のある人は? 特に無いなら決定で。


「まあいいだろう。マーニが昇る頃は休むものだからな」


 ではトートルさんを初めとした方々も同じように寝ます。


「ではおやすみ」

「おやすみなさい」

「早く寝よう」

「当然私様はジャージで寝る」

「ロキシス様の言う通りです」


 こうして一行は眠りにつきました。事件はその夜に起こります。


「随分と長い前置きですね。もっと早くしてください」


 ブラーギ、てめえ分かって言ってんだろ。




 では皆さんは夜中、突然白い光に目が覚めます。なんと、部屋の中央にまるで太陽のような凄まじい光が放たれているではないですか!


「うわっ! わ、私様は日光を浴びると溶けてしまうのだ!」


 さっさと溶けろ。そして閃光が晴れると、そこから人が現れます。それは、何と昼間奴隷として売られた少女ではないですか!


「随分あっさり進めると思ったが、そういうことか」


 悪神の策略なんかお見通しよ。さっさとレールの上に戻りやがれ。さて光の中から現れた少女は皆に向かって言います。

「お願いです! 助けてください! あと奴隷に売らないでください!」


「奴隷に売った人間に助けを求めるって、リアリティも何もありませんね」


 こっちの事情も考えてください。ブラーギさんの言葉を無視して続けましょう。少女は言います。

「ちゃんと助けてくれたら報酬をあげます。ついでに経験値も」


「勝利の剣が貰えるのか?」


 貰えるかもしれません。


「勝利の剣が貰えるなら、よし乗った」


 では依頼を受けて貰いましょう。


「魔法を詠唱します。マジックアロー。対象、その少女」


 話、聴いてなかったんですか、ロキシスさん。


「話を聴いたうえで発動した。それならいいのか」


 護衛対象ですよ?


「問題は無い筈だ。ダイスロール、46。詠唱成功。ダメージは……ダイスが3なので+3で6だな」


 だから、何やってんですか。


「何って、NPCに魔法で攻撃しているのだ。それとも攻撃できない理由があるのか? 少なくとも攻撃手段が取れない理由が無いなら自由な行動を認めるべきだ。そうルールブックにも書いてある」


 そこまでは書いていませんが……まあ、自由な行動がTRPGの醍醐味ですからね。認めましょう。ダメージは開示しませんが、まったく傷がついていないように見える。


「トートル、こいつに攻撃してみろ」

「何か考えがあるのか?」

「まあやれば分かる」

「いいな、GM」


 え、ああ、まあ……


「メイスで攻撃する。ダイスロール。10。これは当たったか」


 いえ。攻撃は当たりませんでした。攻撃は直前で反れました。


「どういうことだ、悪神よ」

「簡単な話だ……こいつは、GMの送った刺客ということだ!」


 ……いや、単なる味方NPCだから。


「本当に味方キャラだと思うか? 何故我々の攻撃が通らないような奴が我々に助けを求めるのだ? おかしいではないか! やはり、こいつは敵なのだ!」


 だから、敵じゃないですってば。


「いや、ニ〇生でよく見たことがあるぞ……最初は優しい振りをして後から攻撃する手法をな……だがここでは分が悪い! 皆逃げるぞ!」

「そうか……一度引くぞ」


 トートルさん、少しはGMを信じてください。


「死んだら詩もかけませんからね」

「さっさと撤退だ」

「あの、私ってまだ奴隷市場に売られてないんですよね?」


 ああ、もう分かりましたよ! みんな宿屋から逃げ出します! それでいいだろ!


「逃げる方向は決まっている。平民街を通り郊外に向かう。いいな?」


 戦闘を走っているのはロキシスさんなんで、嫌ですけど認めます。


「ではこのまま走って墓地前まで向かう。人気も無い場所だし、戦うにはいい場所だろうからな」


 ……そんなシナリオじゃないんだけどな

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