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アースガルズの私様  作者: 富良野義正
TRPG世界に悪神が転生したらまったくゲームにならない件について
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TRPG世界に悪神が転生したらまったくゲームにならない件について その四

 こんにちは


「こんにちは」

「こんにちは」

「何がこんにちは、だ。早く始めるぞ」

「ファ〇ク」

「ええっと……ファ〇ク、って言えばいいんですか?」


 はいはい。今回はあんまり手加減してやるつもりはないですからね、覚悟しておけよ。さて、今回は前回からの続きです。前回からの準備段階で話した通り、貴方達は村での依頼に限界を感じたので首都ミッドヘイムに移動しました。処理が面倒なので移動費などは結構です。


「移動費が掛からないって、徒歩だったんですか。けど徒歩でも食費が掛かりますよね? しかも無職みたいなものなのに何処でプラスの報酬を手に入れたんですか?」


 ブラーギさん、本当に面倒なので勘弁してください。さて馬車の停留所でミッドヘイムに降りたところからスタートです。


「GM、質問いいですか」


 あまり聞きたくはありませんが、ロキシスさんどうぞ。


「街の状況や地図はルールブック通りでいいんだよな?」


 そうですね。若干変えるかもしれませんが、街が崩壊するようなことはしません。では着くと辺りには人や馬車が歩いています。中世式RPGの街を浮かべていただけたら結構です。


「投げやりだが、まあいいだろう」


 正直私の心の支えはトートルさんですよ。さて皆さんが行動を選択しようとしていると、遠くからこちらに走って来る少女がいます。


「デュ、デュフ、少女は、は……裸だったり?」


 本気で気持ち悪いのでロキシスさん岩に貼り付けになってください。少女はちゃんと長い服を着ています。更に上にはローブを被っています。白魔導を使いそうな格好です。少女は皆の近くに立つと言います。

「お願いです! 助けてください!」


「当然匿おうじゃないか」


 フレイさんが早いので皆も従いました。彼女を馬車の陰に隠すと、前をがたいのいい男達が走って横切ります。彼らが去ると、少女は出てきて皆に言います。

「ありがとうございます。助かりました」


「トートルは弱き者の味方だからな」

「この展開ってもう先見えてますよね。導入に驚きが大切って詩で習いませんでした?」

「ところで、少女は何か勝利の剣のような物は持ってないな?」

「き、きみ、か、かわいいね……と美人魔術師声で言いました」

「ロキシス様に同意します」


 貴様らの戯言を聴く私ではないわ。さて、少女は続けて言います。

「どうか私を匿ってください。お願いします。お礼はちゃんとしますから」


「じゃ、じゃあ、ぱ……パン、パンツを……と言います」


 本気で通報しますよ。ではロキシスさんの同意により、彼女はパーティに入りました。


「心強い仲間か。俺は喜んでやろう」


 さてパーティが増えましたが人通りの多いところを通れば追っ手に見つかる可能性があります。どう移動しますか。


「地図通りなら北に進めば奴隷市場があったな。そこを宿屋街に向かって歩こうではないか」


 皆さん意義はありますか? ……無いのでしたら、そのまま皆さんは奴隷街を通って宿屋につきます。


「誰が宿屋に行くと言ったのだ?」


 ……え、だけど中央通りは見つかりますよ?


「私様は、奴隷市場に入ると言っているのだ」


 奴隷を買うのですか。まあいいでしょう。この先必要になる可能性はありますし育てれば十分な戦力になることでしょう。


「いいんだな。ならば、この少女とシギュンを売ろう」

「そのようにします、ロキシス様」


 ……は? 売れるわけないだろ?


「売れるに決まってんだろ。奴隷市場はいつでも開いててミッドヘイムの主要経済の一つなんだからな」


 駄目駄目。市場では二人合わせて銅貨1枚だと言われました。日本円にしたら100円くらいです。


「売った」


 ……は?


「おい悪神、勝手に売るんじゃない。ヒール役が居なくなるだろう」

「仕方ない。百歩譲ってシギュンは売らないでやろう。だが、この少女は駄目だ。さっさと売って意地悪な継母に買わせた方がいい」


 いや、だから、それじゃシナリオにならないでしょ。


「だが絶対災いを撒くのが見えているではないか。ならばさっさと我々の手が届かない場所に投げるべきだと思わぬか?」

「んー、まあいいでしょう。売られる奴隷の詩が書けそうですから」

「ゲルズたんじゃないなら、別に許そう」

「ロキシス様に同意します。是非私を売ってください」

「まあ……確かに悪神の言う通り、何か危険な予感がするからな」


……いや、駄目でしょ? 人身売買なんて、そうそうできたものじゃないでしょ?


「何を言っているのだ。ミッドヘイムは人身売買が盛んで、たとえ老人であっても需要がないわけではない。それが少女ならば無条件で売ることができる。全部ルールブックに書いてある。基本的な相場まで載っているぞ」


 じゃ、じゃあ、今は奴隷飽和で、あまり売れないから……


「それはルールブックに反しているではないか。それに奴隷商売が破綻寸前ならばこの街は崩壊する。そうとも書いてあったぞ」


 ……まじうぜえ。


「それで、少女は売れるよな?」


 では皆さんは少女を100円で売りました。いいだろ、これで。


「オッケーだ。さて宿屋に向かおうじゃないか」

「ところでGMよ。本当に少女を売って良かったのか?」


 トートルさんの気遣い感謝します。だがそう思うなら便乗しないで止めてくださいよ、マジで。

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