放送主達の黄昏 その一
アクシン伝説の始まり
これはある動画サイトでの生放送のタイムシフトを有志が動画サイトにアップロードしたものである。
カチカチという音が響く。マウスを押す音だ。そこに映っているのは、汚れた部屋と窓から差し込む暗い外と中央に映る暗い瞳の少女である。
「んー聴こえるのか? コメ読み大丈夫なのか」
またカチカチという音が響く。その少女の顔付近にはマイクがある。
『わこつ』
画面には横に流れる文字と電子的な声が流れる。
「あー1コメさんいらっしゃい。初めての放送だ。見ていけよ」
『JS? 学校は?』
「誰がJSだよ。私様は18歳以上だからな」
『わこ。小学生?』『リア小学生ってまじ?』
「だから18歳以上って言ってんだろうが。いい加減にしろよ!」
『JSだけどSDKだな』『井戸配信? 呪うの?』
「誰がSDKだ! 私様はアクシン様だ! 敬って黙ってコミュ登録しとけよ、ミズガルズの屑共が! ぶち〇すぞ!」
『怖いから小学校に帰ろうな?』『お母さん泣いてるぞ?』
「だから違うって言ってんだろうが! ああ……馬鹿共の相手は疲れるなあ……お前らは、本当に馬鹿共ばかりだな!」
『もっと言って!』『あいあむ馬鹿 ゆーあー馬鹿』『馬鹿って言った方が馬鹿って小学校でまだ習ってない?』
おお、何とぐだぐだな動画なのだ! こんなやり取りがあと5分くらい続くのだ!
~~~~カット~~~
『で、結局何やんの?』
「おう……今日はとりあえず配信環境とかカメラの調整だよ。ちゃんと私様見えてるよな。これでいいのだな?」
『大丈夫』『JSの癖にいいカメラとマイクだな』『マイク洗った?』
「何でマイク洗うんだよ! てめえらいい加減にしやがれよ!」
ここで動画は切れる。




