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アースガルズの私様  作者: 富良野義正
二次元の嫁暗殺計画
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二次元の嫁暗殺計画 その九

 その部屋は暗く、明かりもついていない。光源は同じ話をリピートし続けるテレビばかりだ。


 冬だというのに外は大雨が降っていて一歩前さえ見ることができない。その原因がブラギの失禁だと知るものは地上には存在しないだろう。


 雨音ばかりの暗闇は、無残なものだった。


 様々なグッズは埃を被り、まったく手入れされていない。一部は落ちたまま戻されてさえいないのである。部屋を訪れた者は蝋人形屋敷のようなホラーチックな恐怖を受けるのかもしれない。


 その暗い部屋の中に、一人の少女の姿が座っている。


 髪はまったく手入れされておらず、酷くぼさぼさだった。そして着ているTシャツも煤けているようにみえる。そこには、プリントされた女性の姿が描かれている。


 いや……埃の被ったグッズにも、落とされたグッズにも、何度もリピートされる映像にも、その女性の姿が……『孤ノ島萌子』が映っている。


 この隈を深くした少女……あの悪神ロキは、未だにショックから立ち直っていなかった。


 最新作『ホワイトパワーガール フルパワーズ』でもえちゃんは変貌していた。32股をかけた挙句にがんばる気力を無くして旅に出る道を選んでしまった。そのどれもクオリティさえ低く、そのもえちゃんの全シナリオを終えたロキは劇中の『孤ノ島萌子』のように気力を無くしてしまっていた。


 だが、それでもまだロキはもえちゃんを見捨てたわけではない。


 漫画版『ホワイトパワーガール』はスピンオフ作品だ。まったく本編とは違うし、前作のままの高校生のもえちゃんなのだ。そのもえちゃんが見たくてロキはフラゲまでして雑誌を手に入れていた。そしてロキは、『ホワイトパワーガール』のページを開いた……




 読み終わったロキは放心状態になり、そして抱き枕を床に落とすと、ふらふらとそのまま外の豪雨の中に、亡者のように歩き出した。

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