24、自由と個性の先
音高の何が良いって、何もかもが自由だということ。
制服もなく、勿論髪型も自由。校則らしいものもほとんどない。
バイトもOK。
修学旅行(沖縄)の時も
「門限は作りませんけど、次の日ダンサーになってても知りませんからねー」
と、先生が言っていた。
門限のない修学旅行。すごいかも。
とはいえ、ちゃんと夕飯までにはみんな宿に戻っていた。
今思うと、自由の意味をはき違えていない高校生たちだったなぁと思う。
自由の裏側には“個性を大事にする”という学校の趣旨があるのだと思う。
個性がなければ、音楽は奏でられない。自分を出すことができないで、人前で演奏はできない。
目指すもののある自由。演奏家になるための大事な個性。
私たちが知った自由はとても重要なものだった。
あの頃、ひときわ個性的だったあの先輩やあの友だちが、今になってもテレビや舞台で見かけるのは、あの自由を大切にしていたからなんだと思う。
それにしたって、みんな個性的だった。
その個性に接しているうちに、引っ込みじあんの私もいつのまにか個性的の仲間入りをしていたらしい。
恥ずかしながら、いまだに歌っていられるのは、そういうことだと思う。




