93/200
18、13人目の声楽科
無謀な音高入試で、なんとか補欠合格を果たした私は、当然13人の声楽科の中でビリっかすだった。
ちなみに、ひと学年160人中声楽科は13人。あとは、作曲科、バイオリンが40人ほどいて、他の器楽も数人ずつ。残りの80人がピアノ科だった。
私は、声楽とピアノが下手なだけではない。
その他音楽科目がのきなみダメだった。やったことがないのだから仕方がない。
ソルフェージュ、リトミック、キーボードハーモニーという実技科目は全て5段階評価の「2」だった。
それで、心配した友だちが、私のために昼休みになると特訓をしてくれた。
実技科目は、練習しなければできるようにはならない。
頭で覚えるだけではできないので、経験を積まなければならないのだ。
それで、友だち12人がみんなして、私のために昼休みの練習に付き合ってくれた。
クラスが同じ子は、ピアノや声楽も見てくれた。
私はゆっくりと、少しずつ音楽科目を身体で理解していった。毎日の積み重ねは本当に大事だった。
おかげで、2年生の2学期ごろからやっと成績が「3」にあがった。
って、まだ“普通”じゃーん!
頑張れ、私!




