13、歌って楽しい、と言ったら
幼稚園の音楽劇で、自ら「聖歌隊」になった私は、なんだかんだ歌が好きだった。
成り行きで、近所のお姉さんに声楽を習うことになったわけだが、結局それが合っていたらしい。
「歌って楽しい」
と、ポツリと母に言ったら
「あら、まあ!大変!」
と、言って母はいきなり動き出した。
どこをどう、話を付けてきたのかいまだに分からないのだけど、音大のX教授に見てもらえることになった。
中二になる春だった。
どうやら有名な教授らしい。
ピアノを始めて、まだまる2年しか経っていない。発表会だって2回しか経験していない。
そんな私が、いきなり大学の教授の前でピアノを弾き、歌を歌うという。
X先生に聞いていただいた結果、音大に行くほどの才能はみられないとのことだった。
やんわりと、普通の大学を勧められた。
当たり前だと思う。誰でも頑張れば受かるような、甘いものじゃない。
だけどまだ中学二年生。(これから音大のために)勉強をすることは悪くない。
ということで、まずはその先生についてレッスンをしてもらうことになった。
それから、音楽高校の夏期講習を勧められた。これに行けば、ある程度のレベルが自分でもわかるらしい。
それで中二の夏に、音楽高校の夏期講習を受け、あまりの自分の出来なさに愕然とした。
そりゃー、普通の大学を勧められるわ、と自分でも納得したのだった。
つづく
音高受験まで話が続きます。
ので、続けて投稿します。




