10、転機:吹奏楽部で助っ人
中学生になると、私はバレーボール部に入った。
器械体操をやっていたこともあり、私は身体を動かすのが上手い方だった。特に運動系の学校を目指そうとか、運動選手になろうと思っていたわけではないけれど、そのまま行けば運動部推薦が貰えるくらいの実力はあった。
中一の終わりごろ、いきなり病気になった。
ひどい頭痛が続き、左目の視力が急激に落ちた。学校を休んで通院する日が続いた。
結果的に、私は運動をやめなければならず、バレー部も休部となった。
運動ができなくなったことで、一つの道が絶たれたと感じていた時、仲良しの友だちに吹奏楽部に誘われた。コンクールの助っ人で良いから、一緒にやろうと。
私がやるのは、打楽器。
打楽器なら、素人でもできるもんね。って、そんなに甘いものじゃない。
運動(疲れること)を禁止されている身だというのに、連日の部活で、スネアを叩き続けた。
コンクールではタンバリン、ティンパニー、シンバルを受け持った。
特に当時のティンパニーは、まだペダルが付いておらず、自分で太鼓を叩きながら、音を合わせなければならないため、ある程度耳が無くてはできない。助っ人なのに、随分と重要なポジションを任された。
そんな、重要な助っ人。
コンクールの真っ最中に、シンバルを落っことして派手な音を立てた。
助っ人が舞台をぶち壊してしまった。すまん!
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転機としたのは、私は病気にならなければたぶん、音楽の道を目指さなかった、と思うことから。




