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3、行進
私が通った小学校は、毎朝3分間全校生徒が校庭を走るという“全校駆け足”なるものがあった。
必ず毎朝走る。
そして、走り終えると朝礼がある。
朝礼には、音楽委員が鼓笛のようなものを演奏して、他の生徒たちはその音に合わせて行進をしながら、朝礼の形に並ぶ。
その“行進”が曲者だった。
行進曲、マーチは2拍子。
1,2、1、2、に合せて右足、左足を交互に出せば、全員が足並みをそろえて美しい行進ができる。
「1が左足だぞ!」
と、先生が叫ぶ。
そうか、1が左足だな。と、思って周囲を見ると、右左が逆になっている子がチラホラ。
右と左もわからないのか・・・と、子どもながらに呆れる。
ところが、左右がわからないなんてまだ可愛いものだ。
周囲に合せようとして、不気味なツーステップを踏んでいる子もいる。しかも1人ではない。
さらに、1,2のリズムに全く合わせることなく行進、いや、歩いているだけの子もいる。
行進曲が流れているのに、それを無視して普通に歩く方が難しいのではないのだろうか。
などと無駄なことを思う私。
リズム感がない人がいるというのを、その時初めて知ったのだった。




