表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなり音楽教室  作者: marron
3-18歳(私)編
77/200

2、ウチの梅干し


私が小さなころ、ウチは農家だった。小さな梅農家。

夏の梅農家は大忙し。子どもの手も借りるほど。


いくつもの大きな樽に、いっぱいの梅と、真っ赤なつけ汁が入っている。それを、真夏の炎天下に干す。

庭いっぱいに何枚もゴザを敷いて、つけ汁からあげて水けをきると、ゴザの上にバラバラと干していく。

しょっぱい汁が好きで、ちょっとでも指を舐めようものなら、爺ちゃんがすごい勢いで怒鳴る。

「コラァ!」

舐めません。すみません。

ささくれがあると痛い。


真夏の我が家の庭は、梅干しだらけだった。なかなかの壮観。


夕立が来ると、大急ぎで取り込まなければならない。洗濯物よりも先!

それくらい、梅干しに雨は天敵。

子どもだった私も、もちろん駆り出されて手際よく梅干しを救出していた。


ちょうどそのころ、巷ではピンクレディが流行っていた。

私と年子の姉は、毎日のように縁側で歌い踊り、ちょっとしたミニコンサートを催していた。

聞き手は「梅干し」たち。

無言で私と姉のデュエットを聞き、美味しくなっていく梅干したち。

よく、植物やお酒にモーツアルトを聞かせると美味しくなるなんて言うけど、ウチの梅干しは私たちのデュエット仕込み。さぞや美味しかろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ