1、クリスマスの劇
ここから私の子ども時代のお話しになります。
よろしくお願いします。
私が通った幼稚園はミッション系で、クリスマスにはキリストの降誕劇をした。普通の幼稚園ならばお遊戯会なのだろうけれど、ウチはなかった。
毎年同じ降誕劇を全園児が演じる。
小さなころの私は、非常に臆病で、幼稚園でもずっと泣いていた。いつも先生に抱っこされていたのを今でも覚えている。
そんな私が、年少さんの時、降誕劇でできるのは“牛”。なぜ、牛。
普通降誕劇に出てくるのは“羊”だろーが!
などと知るはずもなく、年少の私は牛のお面を頭に付けて、舞台の一番端の方で小さくなってうずくまっていた。
その時、年子の姉は、女の子に一番人気の“天使”の役をやっていた。しかも、なぜか姉が一番良いところに立っていた。全ての天使の一番上にいて、大きな星を一人だけ持っていた。
さて、その次の年。
私は年中さんになっていた。その時、やりたい役を聞かれて、私は“聖歌隊”を選んだ。
聖歌隊は人気がなかった。
舞台の右端っこで黒いポンチョみたいなのを着て歌う、地味な役だから。
だけど、私はこれが良かった。
なぜなら、聖歌隊の曲を覚えていたから。それなら出来る、と子どもながらに思ったらしい。
かくして私は、年中時と年長時の2年連続で聖歌隊を務めた。
いつも泣いてばかりで、抱っこされている小さなマロンは、この時初めて自分からやりたいものを選んだのだと思う。




