25、ありがたい
私は自宅でピアノ教室をしているので、子どもたちは必然的にピアノの生徒さんを見るし、音も聞くし、静かにして待っている。
多分、色々我慢したりしているのだろう。
たとえば、小学生にはお母さんが見なければならない宿題というものがある。音読を聞いてあげたり、丸付けをしたり、分からないところを一緒に考えたりしてあげる。
ところが、ウチの子が宿題をやる時、私はピアノの先生である。
「おかあさん、ここ、丸付けして」
と、末っ子がピアノの部屋に入ってくると、
「今無理だから、あとでね」
ということになって、非常に可哀想だ。
そうすると、ピアノの生徒さんのお母さんが
「おばちゃんが見てあげようか?」
と言ってみてくださる。
すごい。
ありがたい。
「この字はもう少していねいに書かなきゃダメよ?」
などと指導までしてくださる。スミマセン。
ちゅんちゅんは小学生時代、図書館に遊びに行く前に台所に立ってから出かけていた。
そして、出かける前にピアノの部屋を覗き
「おかあさん、お味噌汁の下準備しておいたから」
と言ってから、出かけて行く。
帰ってきて、私がまだお稽古をしていると、下準備どころか夕飯ができている。
お稽古が終わって部屋を出てくると、良い匂いがする。
「今日の夜ごはんなに?」
という母。
娘が中学生になってからは、弟たちがそれを引き継いでいる。
本当に本当に、ありがたい。




