7、良い音が出るなら
私は、生徒さんにあまり指の形を指導しない。勿論、明らかに変な弾き方をしていれば、もっと弾きやすい弾き方を教えるし、力が入りすぎていたり逆に力が無かったりする場合は、正しい弾き方を教えはするけれど、あんまりひどくない場合、また本人に考えてほしい場合は、あえて口を出さない。
その代り、手は出す。
私の手がどのように弾くのかを見て、自分の手と比べてもらう。
そうすると、たいていの子は、
「ここが違う」とか
「先生の手は、指が高い」
など、子どもなりの意見を教えてくれる。それが分かる子は、いちいち指をこーしろ、あーしろと言わなくても、自然と良い形になっていく。
お~、珍しくまともなエッセイ。
と思ったら大間違いだー!
過去に面白いピアニストに出会ったことがある。
彼はクラシックを勉強した後、ジャズに転向した人で、最初からジャズを弾いていた人よりも明らかに技術があり、そして指使いというか指さばきが上手かった。
その彼が
「良い音が出るなら、鼻で弾いたって良いんだ」
と、言っていた。
なるほど。そうかも。
そう思って、それを生徒さんに言ったら、
もれなく全員、鼻で鍵盤を弾こうとした。
「いでー!」
痛いって・・・さすが、男子。