9、メトロノームで
ウチの子たちは、3人で一緒にピアノを弾く。そういうのを連弾という。
3人で弾くので、6手連弾という。
雀ちゃんとあす太は年子なので大差ないが、末っ子は少しばかり小さい。手も小さいし、力も弱い。技術もそんなにない。
6手連弾で何が良いって、そんなに弾けない子でも、他の人が弾いてくれるので、上手く聞こえるという。
例えば末っ子が一本指でポチポチ弾いていても、他のところを雀ちゃんがバンバン弾いてくれれば、なんだか自分が弾いているような錯覚すらする。
しかし、良いことばかりではない。
3人の息が合わなければならない。コレは結構難しい。
子どもは自分の好きなように弾くので、他人の音を聞いてそれに合わせるってことは、実はすごく難しい。
それで登場するのが、メトロノームという機械。
こいつが優れもの。
一分間に何回というメモリを合わせておけば、ずっとその通りにカチカチとリズムを打ち続ける。
各自、まずはメトロノームに合わせて練習をしておいて、3人の合奏をする時にもメトロノームをつけておく。
そうすると、全員メトロノームを見ながらピアノを弾くという。
勿論、誰の音も聞いていない。彼らが聞いているのはカチカチというリズムだけだったりする。




