8、合奏のピアノに立候補
小学校では、3年に一度音楽会がある。合唱と合奏を学年ごとに披露するアレだ。
我が子たちは、何をするんだろう?
音楽家である私としては、興味深いところでもある。
雀ちゃん(当時4年生)は、ボンゴだかコンガだか、そういう太鼓系のやつを選んだ。リズム感もわりとあるし、楽譜もそれなりに読めるので、とても楽しそうにやっていた。
そしてあす君(当時3年生)。なんと、ピアノに立候補したらしい。
あす君は、お母さんが大好きなので、お母さんと同じピアノをやりたい、とよく言っている。だけど、クラスにはピアノの上手い女子が数名いる。
無理だよ。
と、最初から言ってはいけない。
オーディションだ!
学校から楽譜をもらってきて、ひと月後にオーディションをするという。
あす君、大はりきりで練習を始めた。
ひとつ言っておく。アスペルガーの人って、不器用な人が多い。あす君は筋肉量も少なめなので、音量の調節が下手だと母は知っている。
だけど、練習した。いつぞやの夏休みよりも練習した。
おかげで、かなり弾けるようになった。
この分なら、やらせてもらえるんじゃないか、と私も淡い期待を抱くくらいには。
オーディションの日。
あす君は、拍手をもらった。「あす君すごーい!」と、誰もが言った。(らしい)
だけど、あす君は選ばれなかった。
選ばれなかったけれど、「すごーい」と言ってもらえたので、満足だったようだ。
結局、鍵盤ハーモニカになり、ソロをやらせてもらった。




