7、番外編:下校で
今回は番外編で、音楽のお話ではありません。
あす君がどんな感じの子なのかがわかるかと思い、ここに番外編として入れさせていただきます。
文字数もいつもより多め700字を少しオーバーしていますが、よろしかったらお読みいただけるとうれしいです。
あす君は、アスペルガーであるけれども、とても軽く、他人からそうとは見られない。だけども、本人は空気が読めず人知れず苦労していることは確か。
学校でも変なことを言ったりして、浮いているのを見かけていた。
授業参観に行って見ると、あす君は机の上の鉛筆と消しゴムを「シュー、バンバンバンバン!どぴゅーん!」などと、戦わせている。戦いが終わると勝利の歌を歌う。
おーい、授業中!
まだ2年生くらいだと、先生も許容してくれるので、あまりひどく怒られることもなく、ある意味助かるのだけど、やっぱりクラスで浮いてしまう感は否めない。
ある日、泣きながら帰ってきた。どうしたのか聞くと、一緒に帰ってくるお友だちに叩かれたらしい。
次の日も、その次の日も、1週間以上もそれは続き、母は心が痛んだ。
あす君に聞いた話だと、トレーニングと言って、あす君を叩くらしい。あす君はすぐにキレるので、それが楽しいのかもしれない。
「やめてって言いな」とか「やり返しても良いんだよ」とか「痛いって言うんだよ」など、色々言ってはみたものの、あす君は納得できなかった。
「だけど、あす君の気持ちは伝えなきゃ、絶対ダメなんだよ」
と言ったところ、それですごく納得できたらしい。
あす君は次の日、自分の気持ちをちゃんと伝えた。
そうしたら、相手の子は分かってくれたらしい。ゴメンと言って、握手をしてくれたと言うのだ。
それから、その「トレーニング」はピタリとやんだ。
そして、その子とは仲良くなり、今では他の子にあす君がいじめられそうになると、その子がかばってくれると言うのだ。
よかった。
あす君が自分の気持ちをちゃんと伝えられて。
何て言ったの?と聞いてみたら
「僕は、剛君と友だちでいたいから、剛君のこと、叩かないよ」って。




