表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなり音楽教室  作者: marron
声楽家編
46/200

21、指揮者に負けないソリストたち

それはある大学の学祭での出来事だった。大学のオーケストラ部と合唱部がぜひ第九をやりたいというので、そこの学生に伝手(つて)のあった私がソロを歌うことになった。

しかし、オケと合唱は全員アマチュア、というか学生。プロは指揮者とソリスト4人だけ。

どうなることか・・・と思うけれど、訓練されたオケや合唱ならばそうそうマズイことにはならない。


ところが、指揮の先生が、学祭当日に都合がつかないという。

それで、指揮の先生のお弟子さんが代役ということになった。

振れるのか?

アマチュア指揮者が、アマチュアオーケストラを振れるのか?ソリスト全員に不安が走った。


前日リハでは、指揮の先生が振り、まあ、大学の学祭ならこのくらいできていれば良いでしょう。という感じで和気あいあいだった。

ところが、当日指揮の先生はおらず、ゲネプロで弟子が振ると・・・音楽にならない!

「せーの、ほい!」の「ほい!」が分からないんじゃ、出られない。

止まるオケ。

泳ぐ目線。

怖い~!


あんなに恐ろしいゲネプロは初めてだった。

ゲネプロが終わってから、私は学生に「指揮は気にしないで、いつも通り止まらず吹くんだ」と耳打ちしておいた。


そして本番。

勿論、弟子の指揮は急に上手くなることはなく、オケと合唱を翻弄する。そこにソリストが入るのはなんという緊張だろうか。

しかし、ここでうっかり指揮を見ると惑わされる。

見てはいけない。

とにかくオケを聞き、それに合わせて歌うソリストたち。



学祭の第九は大成功だった。

よくもまあ、誰も止まらずに吹けたものだと、いつもの指揮の先生は素晴らしいのだと実感したのだった。


ゲネプロ:ゲネラルプローベ(独)の略語。“通し稽古”という意味で、リハーサルと同じ意味ではあるが、クラシック界では、直前練習といった意味合いが多い。(リハーサルは普通の練習という意味で言われることが多い)

話し言葉では、ゲネプロ、またはゲーペーと言うことが多く、わざわざゲネラルプローベという人はいない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ