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13、マイク不器用
基本的に、声楽はマイクを使わない。
フルオーケストラ伴奏に、合唱が200人いようとも、その前で歌うソリストにマイクはない。
録音用のマイクは拡声するものではない。
よっぽど広い会場ならばマイクも使用するのだけれど、まあ、1000人くらいまでの会場だったら、マイクは使わない。
ということで、私はマイクが苦手だ。
声楽家は、自分の声を発して、その声が向こうの壁に当たって返ってくる音を聞いて、その会場の響きと広さを測る。
無意識にではあるけれど、あまり響かない会場とよく響く会場とでは歌い方は変わる。
ところが、マイクはその壁に当たって返ってくる前に、私の耳に信じられないほど大きな音をぶちこんでくる。
うわ!
と、思って声を小さくしてしまったり、自分の声が分からなくなって、エライ音痴になってしまうこともある。
マイクごときで音痴になる自分が嫌。
マイクがあっても歌える声楽家はいるので、単に私が不器用なだけらしい。




