12、合わせ練習
オペラではなく、声楽のコンサートの時は、伴奏者を自分で選ぶことが多い。
伴奏者が指定されていることもあるけれど、声楽家と伴奏者は非常に密接な関係がある。
なにせ、ひとつの舞台を共に作り上げる大切な相棒。私は正面を見て歌うけれど、伴奏者は横向き。しかも私の斜め後ろにいる。
どう見ても私が主役のようではあるが、伴奏者がいなければ何もできないし、伴奏者が上手いと舞台はグッと良くなる。
ということで、コンサート前には必ず伴奏者と顔合わせをして、それから合わせ練習をしなければならない。
自分で伴奏者を選んで良い時には、いつもお願いするピアニストを決めている。(高校時代からの仲良しさん)
コンサート前に数回、どちらかの家やどこかのスタジオでピアノと歌の練習をする。ある程度の速さの確認やブレスの長さ、歌い出しのタイミングなど、一緒に練習をしなければわからないことはたくさんある。
そうして、一緒に良い音楽を目指す。
先日、伴奏者の家に“合わせ練習”に行った。
「じゃあ、やりますか」
と軽い感じで始まった彼女の伴奏は、いきなり2倍速だった。
「速すぎるよー」と言ったら、
「あ、間違えた。1人で練習している時は、いつも倍速なんだ」
と、テヘペロしていた。
倍速で練習するピアニスト。
忙しいのはわかるけれど、普通に練習してくれ。




