5、あのカンタービレを
カンタービレというのは「歌うように」という意味。
そういう漫画があった。
音大の教育科を出た友だちが
「音大生がみんなあんなだと思わないで欲しいよね」
と、言っていた。
あんな、というのは、あの主人公のようにハチャメチャで、騒がしくって、常識がずれているような、ということだろう。
まあ、音大生がみんなあんな、だとは私も言わない。
ピアノ科や教育科の人たちは、非常に真面目で常識のある人たちだ。
だけど、声楽科は・・・というと、あのマンガの主人公と相当にかぶる。
というか、声楽家こそがアレだと言っても良い。
声楽家は、良く言えば明るい。悪く言うとうるさい。
黙々とピアノを練習するピアニストと違って、声楽はどうしても自分の声を出すために、自分の身体が「歌えるモード」に入っていないとならない。
よく「泣いた後は歌えない」と聞く。声帯が閉まってしまうから。
私は“怒っている時”は絶対に歌わない。歌えなくないけれど、自分の声帯を傷つけそうで怖い。
だから、明るく元気に保とうとするのが声楽家なのだろう。
(学生時代)声楽科だけの飲み会があったとき、駅前に集合した声楽科男子は全員“サルの着ぐるみ”を着ていた。
都心の駅前にキャッキャと騒ぐ猿軍団。
そういうノリなのが、声楽科の生徒たちであって、音大生がみんなあんな、というわけではない。




