6、音大貧乏男子
音大にいる男子は、すっごい金持ちのボンボンか、ものっすごい貧乏のどっちか。
普通家庭はないのだろうか。
そして、私の友だちはほとんどが貧乏だった。
それも、ただの貧乏じゃない。ド貧乏だ。
火が移ったら3秒で燃えつきそうな、ペラッペラのアパートに住んでいる奴らが数人。
そんなアパートに住んでいるから、ピアノなんて置いたら床が抜ける。ピアノもなし、でどうやって練習するのかと思ったら、鍵盤ハーモニカしか持ってないヤツまでいた。
ヤル気あるのか・・・
食事も満足に食べられる収入はない。勿論仕送りもない。彼らは、親の反対を押し切ってまで東京に出てきて、音楽家になるべく勉強をしているのだ。
だけど、食べないわけにいかない。
バイトはまかない付きの清掃の仕事。夜な夜な清掃をしては、そこでたらふく食べてくる。
そして、学校があると学食でカレーうどんとライスを注文して、
「これで、カレーうどんとカレーライスが食べられるんだぜ」
などと言っている。涙なしには語れない貧乏だ。
着ているコートがゴツゴツと不自然に膨らんでいるかと思ったら、学校のトイレットペーパーを仕込んでいる奴もいた。
それはいかんだろう。
だけど、トイレットペーパーか。ないと、困るよね。




