18、不潔じゃないけど
ウチのピアノの生徒さんには、女の子もいる。
女の子たちは、手指が汚いこと、ないなぁ・・・と考えていて、思い出した。
「うわ~、コレはまた、どうしたの?」
と聞くと、Nちゃんは堂々とその両腕を見せてくれた。
彼女のまだ短くて細い腕には、赤いサインペンで所狭しとハート模様が描きこまれていた。でも、よく見るとハートというよりは、ただのVのようでもある。
「きょうね~、おばけやしきやったの~」
女の子は、幼稚園児でも説明が上手い。まず「いつ」「なにを」が分かる。さすが女の子。
「うん、それで?転んだの?」
「違う違う、Nちゃんね、ゾンビだったの」
ゾンビで・・・ハート?・・・沈思黙考。
ああ、ゾンビ!切り傷というか、ゾンビっぽい血の痕か。
「へぇ~、すごいね」
「そうなの~、ゾンビがんばったんだ~」
「エライねぇ。みんな、怖いって言ってた?」
「ううん。誰もきづいてくれなかった」
プ!
かわいすぎ。
暗い部屋でやったから、Nちゃん、渾身の作、ゾンビメイクは誰にも認識されなかったらしい。
それをまた、本人が分かっているところがすごい。
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どうでも良いけど、「沈思黙考」って言葉が好きです。
なんて可愛らしい響き♡




