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10、指揮をする中学生
中学校の合唱コンクールで、指揮者も生徒から選ばれる。
わりと指揮者をやりたい人は多い。男女を問わず立候補者が出る。
本来指揮者は、音楽に明るくなくてはならないが、中学の合唱ごときでは、そんな人はいない。
音を教え、導くように指揮棒を振り、歌詞を口ずさみ、音や音量や表現の間違いを指摘する・・・
ようなヤツはいないのだ。
ということで、伴奏者は指揮者に教えなければならないことがある。
まず、拍子の手の振り方。
曲によっては歌が一拍目から始まらないので、そういうのも教える。
それから、各パートへのキューの出し方、出すタイミングも教えなければならない。
そして、伴奏と指揮とで何度か合わせ練習をしておく。
そうしないと、ズレてしまう。
指揮者が楽譜が読めないことなどざらなので、こういう作業が必要になる。
合唱コンクール当日は、誰もが指揮者を見て歌う。
伴奏者も指揮者を見て弾く。
じゃあ、指揮者は・・・?
時々、不安になるのか、指揮者が伴奏者を見っぱなしということがある。
「アイツらデキてるんだぜ」
と、いらぬ噂が立つ。
指導までして、あげくにこの噂か!




