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10、ローマは
ウチは声楽も教えている。
声楽の生徒さんはたいてい大人。その中でTさんという面白い人がいる。
ぴんぽーん♪
Tさんのレッスンの日、ウチのピンポンが鳴った。私が出ると
「まろーん、きたよー」
個性的だ。
普通は自分の名前を名乗る。けど、彼女は私の名を呼ぶ。
声楽のレッスンは、発声練習、基礎練習、それから歌の練習をする。
基礎練習は、コンコーネなどの歌詞のない曲を「ア」の母音だけで歌う。
歌は、文字通り「歌」なので、歌詞のあるものを歌う。
その「歌」は、日本語の場合もあれば、イタリア語の場合もある。
Tさんはしばらく習っていて、声も良く出ているのでイタリア語の歌を練習している。
最初に私が歌詞を全て発音してあげる、彼女が真似る。
すると、Tさんひと言
「イタリア語って、ローマ字とおなじなんだね~」
・・・もしもし、ローマってどこにあるか、ご存知かね?
イタリア語が単なるローマ字で読めるということを、意外と誰も知らない。