召喚の真実☆彡
重厚な扉を開け放ったソナタ達。
墨を流した様な黒い霧の向こう、レッドカーペットの先には一人の幼子。
そして、その先には…
「…」
無言で艶かしく脚を組んだ部屋の主が、いた。
「助けて…世界を…救って…」
目の前の幼子の声、ソレはまさにこの世界に召喚された切欠の…
「君は…」
ソナタが手を伸ばすが…
「!?」
その手は何も無い空を泳いだ。
と、突如幼子からテレビのノイズ音にもに似た音が発せられ始める。
「ジジ…せ…ジ!…ヲ、救っ…ガガ…」
つれてその姿にもノイズが生じ…
「ピガ!!」
最後に一際高い不快な音をあげると共に…消えた。
「これは…」
そこから導きだされた事実にポコチーニが唖然とする。
「そう。元々、お前達に救いを求めた者等誰も居はしない…これは、挑戦状であり罠。ワタクシからの…ね」
「なんだって!」
一同にも衝撃が走る。
部屋の主…千年女王が立ち上がる。
「この世界に迷いこんだ瞬間より…ワタクシの身はこの空間に閉じ込められた…」
風もないのに女王の髪がうねる。
「だから、お前達がこの処刑場に自ら引き寄せられるように…この千年は…全てその為だけにあった…」
「ここで…絶望と共に…」
その指が空中の一点を指し示す。
「消滅せよ忌まわしい者共!”Y-5結界”!」
瞬間赤黒い脈動と共に結界が形成される。
「くっ…“今度こそ完璧だ…”」
ゴザルが結界の完成前にとスペルを紡ぐが、
「アカ…バン!」
トジョーレから放たれた裁きの雷により、
「ぶぶ!ぶぶひ!」
豚に変えられてしまった。
「…ふん、運が良かった様ね…あと少し遅ければ…結界が完成していたら…跡形も無く消滅だったのに」
心底悔しいという表情に愉悦も滲ませて。
女王が宣告する。
と。
「…ぐっ!」
ヤナが突如、頭を押さえて崩れ落ちた。
「ヤナ!」
「う…く…」
いつも余裕のある笑みをたたえたその顔は苦痛に歪み、ひきつったピジョンブラッドの瞳の脇を玉の汗が、いく筋も通りすぎていく。
「まぁ…絶望した?貴方はワタクシの知る無法者ではないみたいだけれど…」
流れる仕草で腕が美しく揺らめく。
すると、無数の小さな輝きが漆黒の空間に軌跡を描く。
「!」
「一緒に滅びなさい!…”白き輝きは凍れる華々となり咲き乱れる…凍結華乱舞”!」
スペルと共に白い手のひらがはためくと、
其所を起点に輝きが無数の刃を形成する。
桜が春の嵐に乱れるように、荒れ狂い迫る死の刃…しかし、
(くそ…手段がない!)
原典魔術が高レベルで使える唯一の、ヤナが地に這う今、身を守る術はない。
「ソナタ殿!拙者の後ろへ!」
戦神の面を被ったマーリアが庇い前に出るが、
「っ!」
ソナタは更にその脇を疾風の様に駆け抜けた。
「ダメ!」
叫んだ声。おそらくはライラの声がソナタの耳に届くが…残酷にも、状況は変わらない。
と、その瞬間。
目の前に一片の…
「桜…?」
それが突如宙に舞いおりると、…白い嵐に当たった。
「…!」
同時に急速に渦を巻いた華の嵐に変じ、それは死の猛吹雪を受け止める盾となる。
そして、ソナタの黒い瞳には2つのものが映っている。
繚乱する二つの花吹雪と、
「ね、姉さん…何故…」
ここにはいないはずの…ホーケンで静養しているはずの。
「間に合った…な」
…エリザベートだった。




