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3年後…☆彡

時間は経過し…

あれから三年が過ぎた。

北方辺境都市連合は勢力を拡大し、国土の三割程を占める。


加盟都市以外でも女王の圧政に対する密やかな抵抗が広がっており、

今や女王打倒の気運は日増しに高まっている。


そんな中、神輿の上に案の定祭り上げられたソナタは多忙なブラック労働者な日々であったが、

それでも日に一度習慣となった”ある事”だけは欠かしていない。


今日も冬枯れの窓から澄んだ風の吹き込む廊下を、

手に持った花が散らされぬ様に手でそっと庇いながら歩く。


「今日は特に風が強いな…」

つぶやくソナタ。


三年の時は、ソナタの容貌を大きく変えていた。

まず、背が伸びた。

170センチ程。

すらりと長く伸びた手足は鍛えている事もあり少女というよりも少年を感じさせる。

それでいながら、ツインテールをやめて下ろした長い髪は繊細に編み込まれ、頬に残る柔らかさ、憂いを帯びた睫毛の長い瞳とあいまって華の開花する直前にある”少女”の成長を表現していた。


―コツ、コツ

「姉さん、入るよ」

「…ああ」


返事を受けて扉を開ける。


閉じられたガラス窓からは冬のシャープな日差しが差し込んでいる。

その窓辺のベッドに横たり、パジャマにカーディガンを羽織った黒髪の女。


―エリザベート、いや、


「侑香里、姉さん。具合はどう?」


ソナタの姉。

彼女は2年ほど前に喀血して倒れてから体調がすぐれない。

魔法も医療も効かない謎の病気の進行。


最近ではベッドで過ごす事が殆どになっている。

艶やかな黒髪はいささかも変わらない。

だけれど、その頬は少しこけていた。


だが、今日は幾分赤みがさして体調が良さそうに、ソナタの目に映った。


「今日はずいぶん調子が良いな。だが…」

「だが?」

「あの木の葉が散る時、あたしの命も…」

「…はいはい。既に1枚も残ってないよ」


窓から見える樹木はつんつるてん。冬枯れして一枚の葉も残されていなかった。


「…気分の問題だよ、バカ」

「はいはい。…本当に調子が良さそうだね、…良かったよ」

脱力しながらも安心した様子で返すソナタ。


と、それを見ていた姉が突如、悪い笑みを浮かべた。


「…そういうお前はどうなんだよ」

「どうっていうと?」

「ほら、”女の洗礼”を受けた気分はどうよ?」

「!?何故それを!」

「まあ、昨日ほっぺに赤飯付けてたからなぁ。お前、…相変わらずだな」

「~!?」

「で、どうよ?」

「どうよって言われても…、まあ、”女の人って大変だな”って思ったけど…」

「何で、他人事になんだよ?」

「んな事言われても、なんて言ったらいいのかわからないんだよ!今も…腹痛いしな!」

「はは…ま、いずれ慣れる」

「慣れるのも…それはそれで嫌だなぁ…」


「はは…ゴホッ!…ゴホッ!」

「ああ!姉さん、大丈夫!?」

慌てて背中をさするソナタ。


「ゴホ…ああ、悪りぃ。あまりにお前がアレなんで」

「まったく…」

「それよりも…いつものアレ、頼む」

「了解」


言うと、ブラシで変わらずに艶やかな黒髪を漉き始めるソナタ。

今日は、編み方を自分とお揃いに揃える心算だ。


3年しても一向に男に戻れないソナタ。

周囲から散々言われて、少女に必要な色々なものを身に着けさせられた。

(特に眼帯のライラさんの煩さときたら、…それはもう凄かった)


そんなわけで、髪を編むのも得意とは言えないが…まあ何とかできるようになると、

病床の姉がせがみ始めたのだ。


以来、毎日の習慣になっている。


そして、今日はもう一つ、ソナタは姉に告げなければならない事があった。


「…姉さん」

「分かってる。王都…だよな」

気持ちよさそうに目を閉じたまま、姉はソナタに応えた。

「…うん。少しだけだから、待ってて」

「…」

ちらりと見やるエリザベートの瞳に不安の色が浮かぶ。


「心配いらないよ。俺だけじゃない、皆だって居る」

「ま、聞きわけるハズないか。だって…馬鹿だもんな、お前」

「そうだね…」


言いながらも手は止まらず作業を続ける。


今回、王都遠征をしようとしているソナタ達。

準備が整ったのもあるが、何より彼らを召喚した者の願いをかなえる事で姉の病気を治す糸口が

つかめるのでは、という一縷の希望に託している側面が大きい。


まだこうして話をできる間に。

手遅れになる前に。


「よし、出来たよ。鏡出すね」

「ほ~、なかなかやるじゃん。いつでも男辞められるな」

「…勘弁してくれ」


その時だった。


ドカドカと複数の足音が廊下に響く。


そして、部屋の前で止まると、遠慮がち、こつこつとノックの音が響く。

「どうした?」

「開けてもいいかい?」

「や、こっちから出ていくよ」


がちゃりと扉が開く。

廊下に出るとポコチーニを筆頭に主要メンバー全員が固い表情をして立っている。


「…何か、あったんだな?」

短く控え目に発せられた問にポコチーニが首肯した。


「王都が…壊滅した。神竜王の大群が襲来したらしい」

「!?」


王都壊滅。

その報にソナタの目が大きく開かれた。

色々悩んだ末、…やっぱりエンディングに向かう事にしました。

完結まで後9話の予定です。

お目汚しとは思いますが、最後までお付き合い頂けましたら幸いです。


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