俺はお前の・・・(以下略)だけをっ!・・・ア・イ・シ・テ・ル☆彡 (後編)
ソレは校歌とは名ばかりで…
「ぱんてぇは…」
「「「くまさんプリントに限る!!」」」
怪しさ満点の…
「…もしも脱いだら?」
「「「嗅いで!」」」
「かぶって?」
「「「寧ろ穿かせる…穿いてこそ華っ!」」」
―いつも安定の下品さ!
「何故ならば!」
「「「何故ならば!!!」」」
「俺はお前の…」
「「「以下略だけをっ!」」」
「「「「 ア・イ・シ・テ・ルッ!! 」」」
復唱される野太い声の下品な唱和の声が徐々に大きくなっていく。
「俺達はぁっ!」
「「「しる・・・私立スぺマス高校っ!」」」
「紳士の会!」
「「「紳士の会!」」」
「YES!」
「「「ロリータ!!!」」」
「NO!」
「「「タッチ!!!」」」
「Repeat after me …俺達はぁっ!」
「「「俺達は!」」」
「お前を、否、お前の…」
「「「以下略だけをっ!」」」
「「「「 ア・イ・シ・テ・ルッ!! 」」」
「よし決まった…」
感慨深げな変態の声。
(『よし決まった』じゃねぇよ…とほほ…)
ソナタが内心突っ込みを入れるが、
「…いくぞ、次は2番だっっっ!」
「「「応っ!」」」
もはやノッリノリのポコチーニと愉快な仲間達が止まる事などあろうはずもなく。
その陽気すぎる声が、ソナタのスカートポケットから部屋を侵食を続けていく。
(まだ終わらないのかよ…てっきり新しいレイド魔術かと思ったのに、お前ら…一体何をしに来たんだ…)
思わず遠い目になってしまうソナタ。
カオスな状況に。
始めの内はアリーナが変態がいるであろう部屋の外に向けて絶対零度の視線を送るのみであったが、今では部屋に閉じ込められた面々全員がフラストレーションで顔を引き攣らせていく。
(ひえ~…)
(…恥…ホーケンの恥よ…)
(変態…)
(度し難し…)
そしてとうとう『奴らに文句の一つも言ってやる』という空気が醸し出されメンバーに広がり誰かの口をついて形を成そうとするその瞬間!
「ええい!五月蠅い!!!!!!!!」
…とうとう部屋の主がキレてしまった。
振るわれた手先に呼応し青く光る茨の鞭が振るわれると、轟音を立てて部屋の壁が崩落する。
壁の向こうは見通せない程の粉じんが舞うが、ヴェンデッタは構わずその向こうへと怒声を飛ばした。
「その下品極まりない世迷言…今、直ぐにやめなさい!」
(…ん?)
それと同時に、ソナタの右手に絡みついた青い茨の光が霧散した。
どうやら、術者の気が他にそれたようだ。
更に見渡せば壁の崩落とともに部屋全体を包んでいた結界、「Y-5フィールド」も消滅しているようだった。
「ふふ…、全ては計算通り」
「あんなのがレイド魔術の訳ないでござるのにね~」
「おうよ、アホかってんでぇ」
「ポコチーニさん、まじHKッス」
煙の向こうから、案の定いつもの面々と
「やぁ。…ちなみにボクは参加してないからね?」
「ヤナ!」
一度離れたヤナの無傷な姿が現れる。
「はっはっは」
そして、ポコチーニ。
「謀ったな!」
「まあ、お互いさまじゃないの?」
「忌々しい!」
「ニヤリ…と見せかけてからの~…」
「ん?」
―『究・極・緊・縛』
ドヤ顔のポコチーニが腕を振り下ろすと、突如猛烈な魔力の流れが生じる。
糸から紐、紐から縄へと急速に練り上げられたそれは、ぎゅるりと音を立ててヴェンデッタに絡みつく。
「くぅっ!なんと…これが…ほ、本命……?」
忌々し気にヴェンデッタが呻く。
「そう、レイド級拘束魔術『究極緊縛』さ。流石に結界の中では使えないからどうやって自ら壊してもらえるかが鍵だったね」
「そう…だから、あんな見え透いた挑発を、…したのね…ものの見事に乗せられたわ…」
「いや?最初からスペルだけれども?」
「は!?」
その発言に初めて、ヴェンデッタの瞳が丸くなる。
「あー…、コイツそういう奴だから…」
言いながらソナタは遠い目をした。
新しいレイド魔術を作るには1回600円のガチャ券100枚パックに付属する「事がある」
「白紙の羊皮紙」という超レアアイテムが必要。
ゲーム時の資産を継承した奴は当然それを持っていたはずだが…
「ちなみに、これで新しい魔術は打ち止めさ。もう白紙の羊皮紙はないからさ」
「ちょ、おま…!?$#%#$%&#”!」
補充できない貴重な物をエライ無駄遣い。
ある方向に壊滅的にアホで変態な彼にソナタがもはや言語の原型を留めていない罵詈雑言を浴びせる。
「はっはっは!」
「はっはっは・・・じゃねーよ!どうすんだよ!これから!」
「ま、いいんじゃない?」
「適当だな!」
「…そうね、詰めが甘い」
「「!!?」」
それはいつの間にか。
レイド魔術で縛られたはずのヴェンデッタの姿はそこには既になく、
部屋の奥、カーテンの垂れる壁面へといつの間にやら移動していた。
そして、その手に摘まんだ装置の起動用と思われる紐の房を引っ張った。
「吸血鬼の加護を得た私に束縛は無意味。それが、そちらの奥の手で良いかしら?」
「…さあ、どうかな?」
女主人の問いにポコチーニがとぼける。が、若干余裕が無い。
「ちなみに、結界が無くても力押しできると思うのならそれは間違いね」
その言葉を待ったかの様にはらりとカーテンが落ちると壁面に何かの映像が映し出される。
「ホーケンの街だわ!」
マユカが悲鳴を上げる。
「そうね、『元鬼女』のお嬢さん。貴方達の街、ホーケンの丘の上の公園から”とある人物”の視界を投影しているわ」
「とある人物?」
「そう、誰だと思う?」
「…」
さっと、ソナタは見回す。
ポコチーニ、ヤナ、およびホーケン冒険者ギルドの面々と、その奥に彼の義理姉も見える。
(誰だ・・・?)
「ま、まさか!」
突如、マーリアが立ち上がる。
「そうね。貴女に関係の深い人物よ。”ロード”、聞こえるかしら?」
―この機械はすごいのぅ。音が傍にいるように聞こえるぞ!
「「「な!?」」」
「奥の手…というのはこういうものよ。分かったかしら?」
「くそ…何てことだ!」
ポコチーニの悲鳴が上がる。
―おう、連絡が来たという事は…もう片端から建物をぶっ壊し始めてても良いのか?
部屋に流れる無邪気な音声。
ワ=プアに全ての戦力が集中し、オークロード(破壊兵器)だけがホーケンにいる。
しかも、その災害級の怪物は…ヴェンデッタの手中にある。
「選ばせてあげる。更地にするだけで済ませるか、それとも人間も一緒に掃除するのか…」
それは考えうる限り最悪の状況であった。
言い終えると、ヴェンデッタは上下動の少ない流れるようなしぐさでソナタの前に立ち、
「貴女はどちらを選んでくれるのかしら?」
同じくらいの目線の高さから瞳を覗き込んだ。
「しっかり…楽しませてね?」
その言葉を受けて、ぎゅぅ、とソナタの親指が握りこまれたのだった。
一難去ってまた一難…。
一筋縄ではいかないようです(;´∀`)




