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ヴァンパイアというよりも、むしろ犯ざ…(以下略)☆彡

翌朝。


こつ、こつという控えめなノックの音が部屋に響く。

「おはようございます。朝食のお時間でございます」


それを受けて死屍累々の惨状と化したリビングルームの真ん中からむくっと一つの人影が起き上った。


「~~っ!」


ソナタである。

髪の毛は自由奔放なまでに飛び跳ねており、

夜半まで大騒ぎの渦中にあった幼女の腫れた目の下にはきっちりとクマさんが出来ていた。


「朝は、お嬢様…主人が皆様とご一緒にと申しておりますが、、、いかがいたしましょうか」

扉越しの問いかけに、ソナタは周囲を見回すが、


「「「「「……zzz……」」」」」


見渡す限りの夢の国の住人達が…。


「で…だ…あぅ、直ぐ!直ぐ行くのでっ!」

「かしこまりました…大体30、いえ1時間後でご準備させて頂きますので」

「ありがとう!助かる!いや…助かります!」

「ハハ。では後ほど…」


その言葉と共に扉の向うから老執事の気配が消えるとソナタはため息をき、そして。

「は~……。」

行き倒れの集団に目を向けると、盛大に息を吐き出した。


***


「ねぇ、髪撥ねてないかしらっ!」

「心配めされるな。貴殿はいつも通りのアホ毛にて…」

「うう…眠い…」

「いつもの髪留めが見当たらないの!どうしよう!」

「そんな事よりも……」


(うるせ~……)


背後から多重層に聞こえる甲高い声をバックミュージックに別館の廊下を抜けて中庭へ。


すると。


まだ柔らかな日差しと噴水の水の音。

そして小鳥の囀り。


爽やかな朝が目の前に広がった。


それらに出迎えられると不思議と鉛の様に首筋へばりついていた疲労感が洗い流される様な気分になる。


心地よさに癒されながら本館に入ると、エントランスフロアの処で老執事がソナタ達を出迎えた。


軽く会釈を交わすと促されるまま進んで館の入り口右手の扉から大きな食堂に至る。


そこで待ちうけていたのは……


「ようこそ。ワ=プアの街へ。昨夜は良く…寛いでいただけたようね」


クスリと軽やかな笑みをこぼす…


「私、この街の評議会委員長の席を預かるヴェンデッタと申しますわ。皆様とお会いする出来るのを心待ちにしておりましたの」


大人びた仕草の…幼女だった。


「あ、はは…、おま、お招きに預か、り、…恐縮です。私は、ホーケン冒険者ギルドのます、マスター、ソナタと申、します」


と、そこでソナタの首が90度横に振られた。

(…この犯罪者っ!後でお前には小一時間程話があるからなっ!)


そんな館の主とお子様には刺激的らしい契約とやらをした、何かの条例その他法律に抵触する事請け合いな変態ろりこんヴァンパイア野郎を一瞬睨みつけた後、神速で顔を元に戻し、にこやかに続ける。


「この度は身に余る歓待を頂きましてありがとうございます。当方からもささやかながら粗品を持参しましたのでお納めください」

「まあ、幼いのに確りとしてらっしゃるのね。有難く頂戴いたしますわね」

「ヴァンデッタ様も大変”お若く”いらっしゃる様で」


”お若く”の処でまたヨデルを神速で睨みつけるソナタ。

それを受けて、ようやく自分に向けられた目線の意味を理解したヨデルがさっと青くなり首を振るが、ソナタの中で地を通過して地下深くに落ちきった彼の評価が改められる事はかなわないようだった。


「あらまぁ。うちのヨデルが何か粗相致しまして?」

「あ、そこのはんざ…ヨデルさんには良くして頂いておりまして」

「まぁ、そうですの?」


(……今の、見えてたのか?)

ソナタは内心驚いた。


あの速度でのやり取りはヴァンパイアであるヨデルはともかく常人で知覚出来るものではない。

すなわち、、、彼女は常人ではないという事だ。


慌てて寝ボケと犯罪者へんたいヴァンパイアに緩んでいた気を引き締めなおす。


「兎に角、朝のお食事にいたしましょうか。実は私も…お腹が減ってしまったわ」

話し方も砕けて茶目っ気たっぷりにウインクする彼女。


その仕草はとても引き込まれる魅力を持っていた。


どうも執事の言う「悲しみ」に支配されている様には見えないが、それだけ表面しか見せてもらえていないという事でもあるのだろう。


ただ和やかな空気であるのは紛れも無い事実。

そうした中、僅かな緊張感と共に会食が始まったのであった。


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