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皆、元気におっきしよ☆彡

序盤でずいぶん時間使ってしまった…orz

キングキリングゴブリンを撃退したソナタは助けた亀…ではなく女騎士に深く感謝の意を示された。


「有難う。君が来てくれなければ私もロイターも、何より…巫女様が危なかった」


そういって如何にもやんごとなき身分の方が乗っていそうな白い馬車を見やった女騎士は視線を戻すと同時に右手を差し出す。


(なるほど。握手か。)


「ソナタと言います。よろしく…」

言いながら、ニヒルな笑みを浮かべながら差し出したソナタの右手。


しかし、それは空を切った。


(これって、、、!)


外から見るとよくわかるのだが、これは所謂よしよしというかなでなでというか…つまりは頭を撫でられていた。


「そっかーソナタちゃんって言うんだね。うん!ソナタちゃんは見た目と違って随分強いんだねぇ!」


眼帯をしているその容貌が柔らかくなると右目のエメラルド色にソナタの姿が映る。


ーそうだ。自分の姿は魔法少女だった。いや、訂正。魔法幼女だった。


(ぐぬぬぬぬ・・・)


だがしかし、このまま子供扱いでは16歳少年の沽券にかかわる。


なので彼は反論を試みることにした。


「いや、俺、本当は16歳の男なんですよ!どういう訳か・・・こんな姿だけど・・・」


すると、とたんにエメラルドの目が丸くなった。


「…ぷっ」


「ぷ?」


「きゃ・・・きゃ・・・」


「きゃ?」


奇声を発し始めた目の前の女に危機感を感じて一歩後に下がるが、

…遅かった。


女騎士ライラが突如がばっ、とソナタに覆いかぶさる姿勢になり、、、


「きゃぁあわいいぃぃ!何この子!今、「俺」って!ねえ、聞いた?ロイター、この子ったらっっ!」


そしてモミクシャにされる。



・・・反論失敗。


(どうしてこうなった・・・)


ソナタが抵抗を諦め遠くを見つめる中、


「ははは・・・」


気の抜けた様に笑う相棒の魔術師。絶望からの生還にテンションが鰻登りの様子に若干呆れながらも生暖かい視線で見守っていた。



・・・



暫くして。


ソナタのSAN値がマイナスに突入した頃、モミクシャにしつくして満足したライラがようやく落ち着きを取り戻した。


「…ああ、ごめんね。絶対生きて戻れないと思った所からこんな可愛い子に助けられてテンション上がっちゃって…」


「はぁ」


「そうだね、ライラ…。まずは、今回犠牲になった皆の遺品を集めないといけないよ・・・」


それまで様子を見ていた魔術師がずいと前に出てきた。


「・・・うん・・・」


そうなのだ。


ついさっきまで彼女たちの仲間が命がけで戦いをしていたのだ。

一転して沈痛な雰囲気が流れる。



…だが、


「…あの。俺なら何とかできるかもしれないんですけど・・・」


おずおずといった様子でソナタが申し出る。


「何を?」


「皆を…蘇らせることが」


「「え!?」」



・・・



第九階梯。魔術の蘊奥にして至極。


その座にある魔術はもはや禁術とも呼ばれ、神のごとき効果を発揮するものばかり。ギルドバトルでの優位性を保つ為に、こればかりは「伝授」をされない事が多いのだが、唯一つ、例外が存在する。


かつてスペマス界に「ポコチーニ★902」という偉大なプレイヤーが居た。


彼は短期間に廃課金&廃人プレイで頂点の一角に登りつめると、究極の階梯に逸早く到達。課金額も通常より倍も高い1万円というその権利を購入した。


購入当初のデフォルト名称は「範囲蘇生リザレクションオール」という物だったが、スペルm(以下略)の頂上プレイヤーである彼がデフォルトの名前をそのまま使う、などという恥知らずな行動を取る訳も無い。当然の様に紳士としてアレな名前と詠唱を考え出し、あろう事かすべてのプレイヤーに向けてばら撒いた。


流石に階梯が階梯であり、消費魔力は5の9乗、実に195万3125(!)にもなる為、万人が使えるわけではないが、トップギルドでNO5以上の廃プレイヤーは大体がこれを使いこなした。


ただ、あまりにも詠唱がアレなので、使う度に考案者のポコチーニ★902氏を恨んだりまたは称えたりする羽目になった。


その、いわくつきの禁術が、今ここに現れる。


「ジー・チャン・ゲンキ・ボンキッキ!コ・カン・ノ・マグナ・ム・オッキッキ!」

(ひぃ~恥ずかしいよ~)


犠牲者に心を痛め、申し出た事を一瞬後悔したが、直ぐにポコチーニ★902氏への殺意へと切り替えて「いつかあん畜生、リアルでぶっ殺!」と思いながらも次の詠唱を紡ぐ。


「アカイタマ~・ダー・シ・テタ!オージーイーチャーンー!」


半ば、ヤケクソ気味に。

周囲の二人が段々と慈しみを帯びた目線に変じていくのを必死に視界に入れないようにしながら詠唱を続ける。


(流石、禁術。アホな詠唱と裏腹にごっそり・・・いかれるな・・・。)


詠唱する度に指先から血液を抜かれていく感覚がする。魔力=血液の様なもの、という事なのだろうか。


「コーレ・ヲ・ノンデー!バーチャン・ト!ガーンバーッ・ター!…究極範囲蘇生魔法!」


「再びち上がれ、せいしゅんッ!…バァイ・アゴーラ!」


そして両手を突き上げピースをするソナタ。


何故か。


キャラクターのピースポーズが発動条件だからだ。

ゲームでもこの為だけにエモーションの「ピース」を課金購入するプレイヤーが続出した。


ちなみに二つ買う必要がある。何故かは分からないが。


ともあれ、そのピースをきっかけにソナタの半径10m程の円状に光の柱が立ち上る。


…若干反っている様に見えたりするが、きっと、気のせいだ。


…あと、上空から見ると…いや、何でもない。ただ、ゲームでのエフェクトが途中からモザイクだったという事実だけは重要なので書き加えておく。



そして、光が駆け抜けた後、


「あ、アレ・・・?俺、モンスターに殴られて・・・???」


「痛い痛い痛い・・・・あれ?痛くないわ・・・?」


「腕がぁ~!・・・あれ?くっついてるな?」


「し、死んだと思ったんだが・・・」


一度は死した戦士たちが負った傷の痕跡も無く次々に起き上がる。


「嘘・・・!?」

「こ、こんな大魔術聞いた事も…。詠唱もなんだか…ハッ!まさか、遺失魔法…。だとするとソナタ、君は一体…」


受けてソナタは首を傾げた。


「うーん。ただ、ちょっと魔法が得意なだけの迷子、かな?」


照れ隠しでもあった。

それと同時に目の前の命を救うことが出来た自分へのちょっぴりの誇らしさと満足感。そんな思いから、少し気取った物の言い方をしてみる。


「だからさ、宿泊できそうな場所を探してるんだけど、、、良ければ保護してもらえないかな?」


そして、男のロイターに向けて改めて手を差し伸べ、


今度こそ、漢の握手を・・・


「・・・ソナタちゃんっ!!!!大丈夫よ!私!超!保護しまくっちゃうからっ!」

「ぅぎゃぅっ!」


・・・する事は叶わず。


可愛いものに目が無い眼帯の女騎士によって再度揉みくちゃにされるのだった・・・。


ここにあるハンドルネームは現実の物とは一切の関係がありません。

あしからずm(_ _)m


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