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隠密任務を遂行せよ(えくすとら その②☆彡)

エクストラなのに3話構成に・・・orz

「お、お客様困ります!こちらは厨房ですので・・・」

「ああ、ちょっと・・・」

ニコリ。

「・・・・・」

押しとどめようとした支配人と思しき中年男性にぽそぽそと何事かを告げるソナタ。

「・・・・・!」


その言葉はなんだったのか。

それは端からうかがい知る事は出来ないが、結果として男性は一礼して去り、ソナタはさらに突き進んでいく。


厨房を抜け勝手口を出て、店から少し離れた場所にある一つの小屋へ。


「・・・~」


声はそこから漏れ聞こえてくる。

目的地に間違いはなさそうだ。


「我が愛の神二=スぺよ!我は御名を繰り返す・・・」

「二=スぺ、二=スぺ、二=スぺ、・・・・」


神の名を連呼する事により何かを連想させるワードと共に発せられる第4階梯水属性魔術、

水圧斬ウォーターカッター

これまた悪ふざけをしたプレイヤーの趣味により男性の象徴とされる「とある部分」から水のカッターが無数に発射されるというもの。


(・・・たしかに教えてたなぁ・・・ポコチーニのアホがっ!)


キリキリと痛み始めたコメカミを抑えながらソナタは乱暴に小屋のドアを蹴り開けた。


「スぺ、二=・・・」

「そこまでっ!」

―ドゴンッ!


乱入したソナタの強烈な縦回転蹴りは一人のHKの頭部を地面にめり込ませ、怪しげなスペルは中断された。


「ふ~・・・」


「ぷ・・ぷぎ・・・・」

「ん?」

不快な騒音の元凶を絶ち溜息と共に小屋を見回すと、涙目で小屋の端に縮こまり震えている一匹の仔豚が目に入った。小屋の中は惨劇の館の様に血が飛び散り、その床には不自然な程滑らかな切り口に切り分けられてた・・・”肉”が並べられている。


「ま、まさか・・・」

―がちゃり。

「テッド君!またキミか!?仕事の結果に文句を言うつもりは無いが、いつも怪しげな奇声を発するのはいい加減辞めてくれないか!」

「・・・」

「あ、お客様・・・。もしや・・・」

「・・・」

「いや、お恥ずかしい。当店は新鮮な食材の究極の形としてご注文を受けてから食材をシメてお出ししているのですが・・・この前、担当者が辞めてしまいまして」

「・・・」

「ギルドに依頼をかけたら、そこの、テッド、・・・君が来てくれたのですが、・・・まあ食材の”処理”は申し分ないのですが・・・」

”処理”のあたりで小屋の端に丸まった仔豚の体がビクリと震えた。

「・・・」

「・・・奇声が・・・ちょっと・・・」


その言葉に…ソナタを盛大な眩暈が襲った。





一方。

さざ波の様な騒めきの後、一人、また一人と客が席を立ち去っていく店の中で、

マユカは取り残されて俯いていた。


肩が小刻みに震えている。


少女は10年ぶりに訪れたかけがえの無い誕生日を恋する相手と過ごしたかっただけだった。


このデートの為に早朝から気合を入れて、

朝から何度も衣装のコーディネートを組み替え、

慣れない化粧だって何度もやり直して。


恋のライバル達の思わぬ横槍にだって、精一杯の虚勢(つよがり)で対抗して見せた。



だけど、次から次に邪魔が入って来て・・・止まらない。




はたり。

唐突に、少女の瞳から一粒の雫が落ちた。


「あ、あれ・・・?」


―止まれ。


ぎゅぅと瞑った瞼。

それでもその端から染み出した雫は玉を作る。


はたり、はたり。


―止まらない。


はた、はた、はた、はた・・・


―止まれ、止まれ、止まれ―!


更にぎゅぅと瞑る瞼。


すると。


瞼越しにも感じられた薄暗い光が、突如感じられなくなった。


「・・・?」


周囲に闇が広がったのだと、閉じた瞼越しにも伝わってきて、

涙に縁取られた目が、驚きに開かれた。



トーチ


―ぽぅ。


言葉が効果を表すと、暗闇の中に小さな灯火が浮かんだ。


明かりの向こうに、少女の恋い焦がれる王子の姿が揺らめいている。


髪は下ろされ後ろに一つに結ばれている。

小さな体はビシリと着込んだタキシードに包まれていた。


「ぷぎ」

「仔豚?」

ピンク色のリボンをつけた仔豚がとてとてと歩みゆく。

それに向けて小さな魔法使いがぽそりと何かを呟く。

すると、突如煙とともに掻き消え、一台の白馬に引かれた馬車が現れた。


「!?」


「馬車に乗って空の旅、なんだけど・・・」

「ダメかな?」


―ズルい。


小首を傾げる悪い魔術師が投げかけた問い。

せめてもの抵抗に。

少女は言葉を返さず、そっと差し出された招待の手の上に手を置いたのであった。


あ、後1話・・・

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