新たな・・・オ・ト・モ・ダ・チ☆彡
戦いが終わって。
再び日常回に。今日はギルドに新しいお友達が増えるようです・・・
その日。
麗らかな陽光の射す午後に、ソナタの執務室 兼 応接室を一人の面談者が訪れた。
冒険者志望の人物がマスターであるソナタ本人との面談を特に希望しているとの事だった。
こつん、こつん。
「どうぞ」
ソナタが声をかけると、おずおず・・・といった様子でドアが開けられる。
その向こうから、黒いシフォンのスカートと初夏に合わせた薄緑のレースがあしらわれたブラウス、緩やかなウェーブのかかった髪と。それら甘さを容易に受け止めても不自然のない、整った容貌の人物が姿を現した。
個々の要素は若干古いセンスにも思えるが、全体のコーディネイトとしてみると・・・野暮ったさは全く感じられない。
・・・総合的な女子力の高さを感じさせる少女だが・・・
「あれ・・・?冒険者・・・志望と伺っていたのですが」
とてもそうは見えない”可憐”を全身から主張する少女。
(受付嬢志望か?だとしたら、・・・書類ミスかぁ。どうしようかな。正直分からんし、ヤナあたりでも呼んできた方が良いかな・・・)
と。
「あ・・・主殿に・・・惚れ申した!是非、是非に一兵卒の末端に加えて頂きたく!」
すっと、一本筋の通った所作で行われる土下座。
そしてその声は、姿から想像のつかないハスキーボイス。
この少女に誰かがアテレコしているのではないか?・・・と考えた方がストンと納得できる程。
そして、その声には聞き覚えがあった。ちょっと女性性のある声になってはいるが・・・
「あの・・・もしかして・・・」
よくよく見れば・・・土下座した亜麻色の髪の隙間から除く耳・・・人間の物ではなく。
エルフ?にしては少し不格好、にも・・・
「まさか・・・ジェネラル・・・さん?」
「マーリア、と申します」
「・・・オークの?」
「はい」
「・・・、・・・っし、信じられ・・・な・・・い!?”$$#%!”!”#!”#$%」
「あ・・・そうだ」
これまた胡蝶と華の模様がレースであしらわれた女子力の高いバッグから・・・何かをゴソゴソ取り出す。
取り出されたのは、一つのお面。
「これは、当家に伝わる武神の仮面でして・・・」
装着すると、突如、目の前に”あのオークジェネラル”が出現した。
赤い鬣と暴風の様な闘気が周囲に叩き付けられる。
ばさばさばさばさっ!
机から書類が鳩の様に飛び立っていくが、ソナタは目を武人から離せない。
「部下のサムライ達も・・・皆ソナタ様を主と仰いでおりますゆえ。是非によろしくお願い申し上げまする!」
「は・・・?」
(あの100人の豚鬼もセットでついてくるのか・・・)
「あー・・・ちなみに、皆さん・・・生活というか、お食事は・・・」
これで、
「無論、人間が餌でござるよ!・・・言わせないで欲しいでござる、恥ずかしいっ!」
とか言われたら即お引き取り願おう。
そう思い問いかけるが
「一般のオークはいざ知らず・・・我らには知性がありますゆえ、心配する様な事はござりませぬ。食事は人間のそれと変わらぬし、衣食住もある程度以上の文明水準にあるものと自負しておりまする」
まあ、目の前の少女を基準にするなら、人間の中で暮らしても違和感ないのだろうが。
とはいえ、「昨日の敵は今日の友」という言葉はあるが・・・流石に強烈な提案。
―ああ、これは「本人の希望」だから、ではなく「面倒な案件」だからこっちに来たのだな。
やっとソナタは気が付いたが、ここまで話を聞いてしまっては、時はもうすでに遅い。
最初のインパクトに・・・気を取られ過ぎた。
(・・・あるいはそこも計算済みか、義姉さんめっ!)
黒幕だろう人物に恨み節を募らせながらも、これから必要な調整事を頭の中にリストアップしていくソナタ。
その時、既に。
「・・・あの」
―黙り込む様子を不安そうに伺いながら発せられる、
「・・・は、ああ、失礼」
「あ、いえ、・・・やはり・・・ダメ・・・でござろうか」
―”可憐”なその問いかけに。
「あ、ああ・・・」
―返す答は・・・既に決まっていたのであった。
「ふ~・・・」
なんだか、最後はスキップするかのように軽やかな足取りで客人が帰った後。
ソナタはこれから巻き起こるであろう厄介事にため息が止まらなくなった。
LV800のオークがうろつく街・・・朝敵となった今、完全に悪役を名乗るようなものであるし、そもそも奴らが言う通り無害なのかもソナタにはよくわからない。
町のみんなの気持ちだってどんなものか。
だが、今はまだやることがあった。
もう一人。「ソナタ宛」の客人が予定されていたのであった。
―もう、1ミリたりとも信用できない。
「自分に合いたい」ではなく「面倒くさいから」通される厄介ごと。
―次も特大の厄介ごとに違いない。
腹の下にぐっと力を入れ・・・
「次の方どうぞ」
声をかけると。
「うははははっ!ようやく出番であるか!」
なんだか昨日さんざん聞いた声と共に。
ゴバァンッ!
ドアが・・・木端微塵に消し飛んだ。
「ふはははは!昨日ぶりであるな!強敵よ!」
絶句、という他ない。
―それは「厄介事」というよりはむしろ・・・「人類滅亡の危機」!?
「あ・・・ろ、ロード君、かな?」
引き攣りまくった表情筋を無理やり動かして会釈するソナタだったが、
「よせよせ!死闘という名の甘美な睦合い経た我らの間に君付け等は不要。”ミール=アーデルハイデリア=ミモット=オーク・デボロニスカ・トール・ソレイユ・ボーガン12世”と!わが真の名で呼ぶがよいぞ!」
「長いわっ!」
・・・とうとう、我慢が限界を超えた。
「ふむ。では、ミールでよいぞ」
「なら最初からそう言え!」
「ふむふむ・・・お主・・・」
「なんだよ?」
「マゾの癖に突っ込み体質とか・・・誰得な性癖なのかのう?」
「誰がMだ!?」
その後も散々いじくられる内にすっかりペースを握られたソナタは、またしても厄介な冒険者の登録を認める羽目に。
結局その日、新たな二人の強力なギルドメンバー(+100人のブタさん)と共に、ソナタには特大の悩み事が追加されたのであった。
強烈過ぎるオトモダチ。
ソナタ、もうそろそろ円形脱毛症とか発症するんじゃなかろうか・・・。




