表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/95

届け・・・想い(あい)の唄・・・☆彡

3人がかりの反撃も通じず。ピンチです・・・

ロードがギラついたまなこを巡らし、


「そうさな・・・まずはそこの女・・・・」


言うと同時に腕を伸ばし・・・その先が掻き消えた。



次の瞬間・・・


「・・・・ぐっ!」

唐突に、くぐもった声が起きる。


「なんとなんと。知恵は多少有る様だが、・・・頑丈さはからっきしか。肘から先がこんなにもあっさりうなってしもうたわ・・・」



さも、心外だと言う様におどけた様子を見せるロードの視線の先で、




―エリザベートの右肘から先が消えていた。



「義姉さんっ!」

ソナタの悲鳴。ハウリングを起こした伴奏の音が歪む。


「義姉さんっ!今!助けに・・・っっ!」




「・・・ソ、ナタ」


それは、小さな声なのに。


なのに、・・・ソナタの耳にそっと、でも確かに響いて、押しとどめる。


「・・・う、た・・・」

「・・・え?」

「その、歌を・・・完成ぇ・・・させな・・・さい・・・」

儚いその笑顔を保ったまま。


その想いに、ソナタの目尻に溜まった雫が頷きに応じて光を撒き散らしながら、言葉に従い歌を再開する。



―早く、終れ・・・っ!


「と、ど・・・け!」


「なんと!気を失わないどころか・・・笑って見せたか、この女!これは望外!まことに面白い!・・・どこまで持つものか試してくれようぞ!」

邪悪に響く声。


―早く、早く、・・・早く!


「この小さな・・・」


焦るソナタを他所に、ロードの右手の先がまたもや霞み・・・


「させないよっ!」

砕けたサフィレットの残滓を振りまきながら、ピジョンブラッドの瞳が割って入る。


「・・・貴様は・・・まあ、・・・そこそこ早いのではないか?」

「・・・ぐっ!」

ロードの無造作な一撃に、ヤナが薙ぎ払われる。


「どうでもよい程度・・・にすぎんがな。さあ・・・、次は左腕でも飛ばす・・・かのっ!」

ギラリと光るロードの瞳。嗜虐の無垢な喜びに瞳孔がきゅぅと絞られている。



―まだか!早く、早く、・・・頼むから、早くっ!


あいいの・・・」



「では・・・」


―嗚呼っ!もう・・・


絶望に染まるソナタ。


しかし・・・

「させぬ・・・よっ!」

そこへ、今度は赤い鬣が割って入った。


「クドイ!」

「ゴフッ!」


突き出された貫手は・・・ジェネラルの体躯に風穴を開ける。


「退け・・・弱者えさの分際で・・・」

「・・・退かぬ!」


「この方は、我が認めた・・・初めて主と・・・グフッ、・・・希望と仰いだ御方の姉君である!我が命に変えてでもっ!」

「ええい、うっとおしい!」


更に無造作に払われて身の上下分かたれ、まき散らされる武人の体躯。




―だが、その僅かな時間が・・・


うた・・・・・・~っ!」


―とうとう・・・歌を完成させたっ!




歌い終えたその直後。


突き上げ広げた手指の先から、急速に闇が広がっていった。

ソナタの零した涙が艶めいた黒色のキャンバスに無数に増え、広がり、埋め尽くし、粒は一つ一つが青白く・・・。


―けれども暖かな光を帯びて。



そこで、ソナタは気が付いた。


―自らの他に動くもののない世界。


―その中に唯一人。


無数の光の海、あるいは天の川の中を、彼はかき分けるようにして駆けた。


向かう先は・・・


「義姉さんっ!」


―停滞した時間の中で、答えは無い。


「こんな・・・」

冗談のように千切れた右腕。その肘の先に、彼の知る温もりを持ったあの手は無い。


「―!?」

ソナタの顔が悲しみに曇る。


―すると。


ソナタの想いに答えたかのように光の粒達が輪唱を始めた。


「蛇の・・・」

「蛇の杖持つ・・」

「「「「蛇の杖持つ者の如く我は癒しを齎すもの・・・」」」」


原典魔術オリジナルスペル!?


それは元々ゲームで設定されていたデフォルトの魔術。

本来の・・・拡大治癒エクステンドヒール


輪唱された魔術は・・・


―停滞した時の中で彼の義姉を。


―二つに分かたれたジェネラルの身を。


―地に叩き伏せられたヤナを。


―倒れ伏したゴザルを。


・・・全てを暖かな光に包み、傷ついた者たちを癒していく。



やがて。

願いを叶え終えた光点達が徐々にまとまり、・・・うねりとなり、周囲に輝きをまき散らしながらソナタの下に集う。


「・・・。」

掬い上げた掌の中に。


―確かに伝わってくる。・・・義姉さんの、・・・皆の・・・想いが。


そっと。


愛おしくそれを抱きしめると、突如嘘の様に闇が掻き消える。



―ギィンッッ!


闇が晴れると同時に、何かが光の障壁にぶつかる、音。


「な・・・貴様!?いつの間に現れた!」

そして、この戦いで、初めてロードが見せた狼狽の声が続いた。


その声を合図にするように。


かくん・・・っ!


糸が切れたように崩れ落ちそうになるソナタの家族だいじなもの


―世界が時間を取り戻したのだ。


慌てて・・・小さなソナタの腕がそれを抱き留めた。


「・・・あーあ」

儚い笑顔のままに毀れた声。


「・・・ん?」

「どうせ、抱きとめられるなら・・・金髪碧眼で・・・王子みたいな顔したハーフが良かったなぁ~・・・」

照れたように。

「・・・案外、乙女趣味なんだな」

「ふん、・・・ばーか」


「「・・・・・」」

見つめあい。


「「・・・ぷっ!あははははっ!」

同時に破顔する姉と弟。


「・・・まあ、今日の処は出来の悪い弟・・・モドキで我慢してやるよ」

「モドキってなぁんだよ、モドキって!」

「じゃあ、・・・妹?」

「あ・・・やっぱ、モドキでいいや」


戯言を交し合い。


「我を・・・無視するなっ!」


向かいくる(ロード)は・・・


「「我は鋼鉄の盾・・・」」

「「我は女神の盾なり・・・・」」

「「「「「「我は・・・」」」」」」


無限に輪唱される魔術に阻まれる。


―ギャリッ!


その爪は不快な音を鳴らすのみ。


「・・・義姉さん」

「うん?」

「決着・・・着けてくる」


取り戻された手が伸びてソナタの頬に当てられる。


「・・・思い切り、やって来な」

「ああ!」

「・・・ん。よし!」


その輝く様な笑顔を存分に瞳に収めてから。


大事な者をそぅっと下ろし。


小さな体が立ち上がり・・・振り向く。


「待たせたな・・・。遊んで、やるよ」


ロードを突き刺す瞳の色は・・・黒いにも関わらず赤い燐光りんこうを放っていたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ