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氷竜峡谷の凄戦(後編)☆彡

やってしまったソナタさん(いつも通りの仕様)ですが、

将軍はご立腹のようです・・・。

「おのれ・・・愚弄するか・・・」


ギリ・・・と音がする。

発生源は赤い鬣を揺らす、ジェネラル。


これ以上は聞いておられぬと足に力を込め、跳躍を果たすと一気に滝の上、ソナタの目の前に姿を現した。


次の瞬間。


―ヒュゴゥッ!


天空から神弓の矢が飛来するが、


―ギィン。


それはカタナの薙ぎ払いで逸らされた。


「!?」


曲は、間奏パートに入った。

アップテンポの伴奏が周囲を包む。


「貴殿が、・・・この面妖な事態の元凶か?この戦場いくさばで何故・・・笑う?」

「さて、何でだろうな?」


MCの形を取って答えるソナタ。


「まあ良い。どちらしても・・・!」


ギン、とまた、矢が薙ぎ払われる。


「・・・どちらにしても、お主を倒して止まらなければ別の手段を探すのみ」


そして正眼に構えられたカタナ。


次の言葉を発しようとしたソナタだが、


―無情にも間奏パートが終わり、2番のAメロが始まった。


(・・・くそ!)


心の中で舌打ち。

しかし、笑顔のままで、


「~♪」


歌い、振付けを再開する。


「貴様、馬鹿にしているのか!」


「~♪」


そして、背を向ける。


「・・・愚か者め・・・地獄の底で後悔するのだな!」


裂ぱくの気合いと共にジェネラルが地を蹴った。

足元が砕け、礫を周囲にまき散らす。


「-!?」


神弓の矢が当たるが、勢いは少しも変わらず。

とうとう、その刀がソナタの胴を捉えた。


「~♪・・・っ!?」


盛大に吹き飛ばされるソナタ。

しかし、そのシステム的な防御力を持って、胴を両断される事は免れた。


「げほ・・・、~♪」

立ち上がり、再びソナタの歌が始まる。


「その!歌を!やめろと!言っておるのだ!」


―正に、滅多打ち。

その度にソナタの体は右に、左に吹き飛ばされる。


物理防御力に守られ、一撃で致命傷を負う事こそなかったが、魔術師アバターで元々そんなには多くないHPが徐々に削られていく。

応じて、ソナタのアバラが折れ、内臓を痛めたのか口の端から血が毀れる。


「ソナタ君!」

「主!」

「く・・・・この・・・邪魔な豚共が!」


救援に駆けつけた面々は100人のサムライオークに足止めされていた。



「~♪」


尚もソナタの「歌」は続く。




―ソナタ!



魔術で拡声された歌声を超えた大音声が響く。

エリザベートだった。


「歌なんかもうやめちまえ!さっさとその赤いのを始末しろ!」


―再び、間奏に入る。


「・・・ダメだよ、義姉さん。そんな事したら、街が」


「・・・そんなの、どうなってもいい!」

涙でぐしゃぐしゃの顔で髪振り乱す彼女に。


「・・・ありがとう・・・っ」

今までで最高の笑顔が向けられた。


「-!?」




「・・・・」

刀を腰だめに構えながら。

ジェネラルは姉弟の対話を斟酌する。


―薄々感づいてはいたが・・・。


目の前の人間の娘は、「何かを守るため」に命を賭して、このフザケタ行いを続けているのだ。

そう、明らかに命を賭している。

その行為こそがオーク10万のむれを足止めしている。


―この現象の源は、やはり。


確信を得て、手に力を込める。


同時に惜しくもあった。

何かを守る為に命顧みない精神はジェネラル達の信奉する「武士道」に通じるものがあったから。


―だが、力無き正義には何の意味もない。


それが、残酷な北の辺境で生きる彼らの掟。

一瞬、魅入られそうになる思いに頭を振い、再びソナタへの襲撃が再開される。



徐々に、一撃を受けてから起き上がるまでの時間が長くなる。

腕が震えだし、脚に広がっていく。

顔面から血色が失せて徐々に蒼白になっていき。


―だが、その笑顔と歌が止まない。


「・・・何故だ!」


―もう、その顔には死相が浮かんでいるだろう!


思わず、蹲ったソナタを蹴り上げる。


「・・・げほ、~・・・♪」


弱弱しくも継続されるライブ。


―貴様の姉の言う様に・・・さっさと止めて逃げるなり防ぐなりすればいいだろう!


左から切り上げられるカタナの斬撃は、今度もソナタを切断することは無かったが、代わりに吹き飛ばされる小さな体。


「ぐっ!・・・~~♪」


―尚も絞り出される、澄んだ笑顔。


「意志は・・・固いか・・・」


おそらく、この先1秒でも長くオークを足止め、あの罠にかける為。

ただ、それだけの為に命を賭ける気高い者。


「良かろう・・・終わらせてやる」



そうして、ジェネラルが構えを取る。

一度、正眼に構えた刀がだらりと落ちる。


―秘奥義、天衣無縫てんいむほう・・・!


ビュン!


尚も殺人的な速度で飛来する矢を


―ゆらり、


と交わし速さを感じない流れる様な動きでソナタとの間合いが再び詰まる。


「さらばだ・・・気高き者よっ!」


魅入られつつある笑顔を意識から外して。

無慈悲な刀が光を纏いながら、一直線にソナタの頭上から振り下ろされる。


「ソナタ!」


そして、彼の義姉の絶叫が木霊したのであった。


大ピンチ・・・!

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